中国地方弁護士大会でのシンポジウムを聞いた。感動した。
中国地方弁護士大会[平成26年10月10日]
シンポジウム
「立ち直りを支える社会を目指して~反省は一人でできるが更正は一人ではできない~」
での浜井浩一先生(龍谷大)の講演ノート
日本の犯罪は減少し続けている。殺人は1950年以降減り続けている。しかし、治安が悪くなったと感じている人が多い。
55~56年頃は今の3倍の殺人があった。皆さんは人類史上もっとも人に殺される危険がない時代を生きている。しかし、自殺率は先進国の中で最も高い。
日本では、全体の犯罪件数は減っているが、傘泥棒と自転車泥棒は世界1、2位。
犯罪を犯す確率が大きい30歳以下の青少年が減り続けているので当然のこと。諸外国でも同じ。
2000年頃から老人犯罪の比率が増えている(人口比以上に増えている)。こんなことは諸外国では起きていない。
増えているのは窃盗犯の中での万引きで、他の犯罪が減少している中で減少しておらず、特に高齢者の万引きが増えている。
中高年の生活保護世帯の増加、ホームレスが増えている。自殺も増えている。
更正させるためには、居場所と出番。選択肢を示す必要。
反省しても、選択肢を与えなければ更生はできないことが多い。
検挙人員は減っているが、高齢者は減っていない。
70歳以上で11パーセントな国は例がない。
被害弁償ができると起訴猶予、執行猶予になりやすい。検挙された人の2パーセントしか刑務所にいかない。被害弁償ができる経済力がなく、反省・謝罪の気持ちを伝えるコミュニケーション能力がなく、身元引受人がいない人が刑務所に行く可能性が高い
社会政策が充実すると、刑務所にいく人が確実に少なくなる。最良の社会政策は最良の刑事政策。
受刑者のIQ70未満の人が大半。
60歳以上の受刑者は増え続けてきた。
帰る所がない高齢者は再犯率が高い。刑務所だけが受け入れ拒否ができないので、帰るところがない高齢者がふきだまる。現代の姥捨て山になっている。
「これにて一件落着」の遠山の金さんは要らない。石川島人足寄せ場を作った鬼平が求められている。
弁護士の役割、4分の3は判決確定で仕事が終わりと思っている。
刑事司法には、社会との縁を切っていく作用を持っている。逃げない司法を持つノルウェーでは高齢者の受刑者は少なくなる。重警備刑務所から軽警備刑務所へ移す扱い。日本では外部通勤すらなかなか受け入れられない。
外部から侵入するモンスターを排除する(排除型司法)
↓
犯罪者の立ち直り(社会復帰支援型司法)
■感想:
私の乏しい経験に照らしても、確かにその通りだと共感できる濃い内容の講義だった。心に染みるものがあった。