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2014年7月

2014年7月28日 (月)

台北に行くぞ!

しばらく禁欲的に仕事に没頭してきたが、梅雨明けが近くなると、にわかに遊びの虫が騒ぎだし、台北周辺で短い夏休みをとることにした。例の激安旅行社の超格安ツアーをカミサンと2人で予約した。この旅行社のツアーは、土産物店などに連れていき、やたら時間を費やすことで一部の客には不評なのだが、熱心なリピーターのファンが多いことも事実。なあに、土産物店など脱走して周辺を散歩してればよいだけのことである。どうせ土産物店や免税店はむやみに高い外国人価格。買い物は、現地のスーパーや百貨店に限ると思っている。

また、旅行代が格安なのだから、多少の不具合は想定内のこと。特にアジアの旅行では、安ホテルで風呂の湯が出ないくらいのことでガタガタ言わないのである。トイレの水が流れなくたって、部屋の中をアリンコが行列してても、天下の大勢に全然影響ないのだから。そういう不具合も含めて面白がるのが達人。

関空出発便だとバリバリの大阪のオカンたちと必ず一緒になるのだが、彼女たちの激安ツアーの楽しみ方には実に学ぶべきものがある。傍若無人、神出鬼没、正に自由奔放である。旅の楽しみ方の奥義を極めた人生の達人ばかりなのである。「おひとつどうぞ」と言って飴玉を差し出されると、「ごっつぁんです」とすぐ手を出して仲良くなってしまう私である。

ところで、台湾はいい。すばらしくいい。人はフレンドリーだし、町中に旧字体の漢字が溢れているのでとても心強い。

日本で60年暮らしてきて、中学生にバスの席を譲られた経験は一度もないのだが、台北では生意気そうな中学生の子たちがちゃんと私には席を譲ってくれる。感動ものである。台湾には、頭の禿げた男性を大人(たいじん)として敬う美風があるに違いないと私は勝手に解釈している。

あの強烈な八角の香りも少し恋しくなった。台北の雑踏に溢れる混沌としたエネルギーの渦に身を置いて、元気を取り戻したい。

いざ、カラスミのマトメ買いに出掛けるとしよう。

皆様もお元気に夏を乗り気ってください。




2014年7月25日 (金)

岡大ロースクール前期の最終講義で「法制審議会-新時代の刑事司法制度特別部会」の答申について論じてみた

法制審議会-新時代の刑事司法制度特別部会が平成26年7月9日取りまとめたばかりの答申について論じてみた。

答申では、捜査の可視化や証拠のリスト開示についていくらか前進が見られたものの、長期の身体拘束からの脱却についてはなんとも不透明である。

捜査手法として、司法取引や通信傍受の拡大が盛り込まれた。会話傍受(事務所、車内部の会話の盗聴)や被告人の偽証罪の新設などが消えたことには多少ほっとした。

日本の人質司法にメスが入るかと期待していたのだが、刑事司法の新時代を予感させるような内容にはなっていない。

犯罪被害者保護のための匿名化が盛り込まれたが、実務上はとても危険なものを含んでいる。逗子ストーカー殺人事件等の反省に立っているようだが、そもそも起訴状で被害者を匿名にしても訴因が特定されないようなことは絶対に許してはいけない。「セーラー服の女子高生」といった全く話にならない馬鹿馬鹿しい表現まで現れてきているようであり、被害者を守るために被告人(!)の氏名を匿名にしろといった要求が出ることもあり、これに実務が追随した例もあるようである。これを許したのでは刑事裁判の人権保障の基本的な部分が危うくなるというところまで来ているように思われる。駄目なものは駄目だと言わないといけない。

若いロー生諸君は本当に熱心に聞いてくれた。一連の授業を通じて、この時代の刑事訴訟に少しばかり関与した者として、次世代の法曹に語り継げたものが何かあったかというと心許ない。まあ連中が後は何とかしてくれるさ。そう楽観的に考えることにした。




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