養育費の支払方法や履行確保の問題
【東川芳美 先生】の最新記事 養育費は、子が独立して生活を営めるまで(多くの場合成年するまで)支払われるものですが、夫婦が離婚する際に取り決めることが多いため、相手への不信感から途中で支払いを止められることを心配し、一括払いを求めたいと考える方もおられます。
養育費は子が成年するまでの生活保持のためのものですし、親の収入の変動など予測不可能な事情が生じる場合もあるため、毎月その月分を支給するのが通常です。
当事者間で合意すれば
一括で支払ってもらうこともできる
当事者間で合意すれば一括で支払ってもらうこともできますが、一括払いの場合、中間利息を控除した計算方式で一括払額を決めることになり、一月の養育費額に養育年数を乗じることにはなりません。
他方、一括払いで受け取った後でも、事情の変更があると認められれば、さらに養育費を請求することも可能となります。
養育費不払いを続ける義務者には
強制執行をする方法もある
毎月の養育費払いを定めたのに途中で支払われなくなった場合、その履行を確保する方法はあります。
家事審判法上は、権利者の申し出を受けて裁判所が義務者に履行勧告や履行命令を発するという制度がありますが、強制力や執行力はありません。
養育費を強制的に回収するためには、民事執行上の強制執行によることになります。
例えば、養育費の不払いを続ける義務者の給与や賃料収入などの継続的な収入に対して強制執行を開始することで、義務者への支払元から直接養育費相当額を受け取ることができます。
ただ、義務者が勤務先を退職してしまうと、強制執行の対象となる財産がなくなり履行を受けられなくなってしまいます。義務者との連絡が取れるならば、強制執行をする前に、支払いをストップした理由等を問い合わせるなどし、任意での履行を続けるよう話し合いをもったほうがよい場合もあります。
(2016年04月06日 14時40分 更新)
先生紹介
東川芳美 先生
弁護士法人不二 的場真介法律事務所 岡山支店
岡山市北区富田町2-13-12 コートサイドビル5階
TEL.086-238-6010 http://bengoshihoujinfuji.cocolog-nifty.com/benngosihoujinfuji/
奈良県奈良市出身。京都大学法学部卒業。京都大学法科大学院修了。2009年弁護士登録。民事、家事を中心に多様な事件を取り扱う。
「迅速かつ丁寧な仕事を心がけています。お気軽にご相談ください」
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