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2015年9月24日 (木)

控訴審は弁護士を替えた方が良い?

Q
民事裁判で例えば相続や損害賠償請求の訴訟を弁護士に依頼して、地裁で負けた場合。
控訴する時は弁護士は替えた方が良いのでしょうか?
新たな証拠とかが有る訳でなし、一度負けてる弁護士にまた依頼すると言うのも・・・
世間一般はどうなんでしょう。
民事裁判に詳しい方、宜しくお願いします。

A
○あなたが一審で敗訴した原因は3つ考えられます。
(1)あなたが提出した証拠が足らなかった。
(2)あなたが展開した法律上・事実上の主張が足らなかった。
(3)裁判官が証拠の評価または法律の解釈適用を誤った。
○(3)であるならば、担当弁護士を変える必要はないし、変えることはかえって控訴審でも負けるリスクを大きくする可能性があります。
○(1)(2)の場合でも、一審の弁護士があなたの証拠や主張の弱点を熟知した上で、なんとかその弱点をカバーしようと奮闘してくれている場合もそのまま続投してもらった方がよい場合が多いです。
弁護士を変えることで、新たな視点で事案を見直してもらえて、それがよい結果に結び付くこともありますが、そうならない場合も多いです。
○控訴審では、約2割の事件で、一審の結論が変更されています。一審を熟知した弁護士が2審を引き続き担当した場合と、2審で担当弁護士が交代した場合とで、どちらが勝訴率が高いかを研究した研究があるのかどうかも知りません。
○交代してもらった方が絶対よい場合もあります。
一審の担当弁護士が、明らかに不熱心だったり、依頼者の話をあまり聞かない人だったり、法律・判例について明らかに不勉強であったりした場合です。依頼者が1審弁護士を信頼できない場合は原則として変えた方がよいでしょう。
○ただ、民事の控訴審では大多数の事件は1回の口頭弁論で終結してしまうのであり、それだけに原則として控訴後50日内に提出することになる控訴理由書の出来不出来が大きく結果を左右します。控訴審を別の弁護士が担当した場合は、時間が非常にタイトになることも考慮する必要があります。
なお、控訴後50日を過ぎて控訴理由書が提出されるケースがかなりあります。刑事事件と違い控訴趣意書の期限徒過だけでアウトにはなりませんが、控訴審の裁判官の心証にはかなり深刻なマイナス効果を与えかねませんから提出期限遵守が必要です。
○一審の担当弁護士が、引き続きやる気を示しており、質問者様との相性がいい場合は続投をお願いした場合が多いでしょう。一審の担当弁護士が、一審での主張・立証活動の弱点をしっかり理解されており、挽回の道筋を的確に説明されている場合は、交代すべきではありません。
○交代でなく、一審弁護士と別の弁護士が共同して2審を担当する例も多いですが、弁護士はそれぞれ個性が強いですから、うまくいかない場合もあります。
○2審を担当される弁護士が、1審担当弁護士より格段に実力がある場合はその弁護士に単独でお願いした方が一般的にはよいと思います。
○弁護士は、闘牛の牛でも、闘鶏の軍鶏でもありません。「一度負けた弁護士は使い物にならん」などという依頼者は、弁護士の方から願い下げでしょう。大切なのは信頼と信頼に応えようとする誠実さです。
○ではお大事に。

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