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2015年8月

2015年8月10日 (月)

養育費支払いの終期

 未成熟の子がいる夫婦が離婚する際、養育費の取り決めが必要ですが、毎月の具体的な支払金額だけでなく、いつまで支払うかという「終期」が問題となります。

成年として行為能力をもつ
20歳に達するまでが一般的

 養育費は、親の未成熟の子に対する扶養義務が根拠になります。ここでいう未成熟の子とは、経済的に独立して自らの生活費を得ることができない子を指しますので、未成年と同じではありません。

 中学校や高等学校卒業後就職して、独立した経済力をもった子は、未成熟の子ということはできないため、20歳より前の段階で未成熟の子でなくなり養育費の支払いを終了するということもあり得ます。

 ただ、離婚時に両親の考えで子の進路を決めてしまうことは適切でないため、一般的には、成年として行為能力をもつ20歳に達するまで養育費を支払うとすることが多く、子が20歳を前に就職し収入を得るようになれば、養育費の打ち切りや減額といった話し合いをすることになります。

大学卒業までとの取り決めも可能

 4年制大学に進学すると、勉強のため20歳を過ぎても働けず経済的に自立しているといえないことになります。

 昔より大学への進学が一般的になり、就職の際に大卒者の方が有利となる場合もあるため、大学に進学したためにかかる費用やその生活費は、養育費の内容となり得ます。

 従って、合意後の大学進学を理由に、20歳を超えて養育費の負担を請求することは可能です。

 20歳に達したことから養育費の支払いを打ち切った親に対し、子が大学進学を理由に養育費の負担を求めた事案で、裁判所は、大学進学率の高さから、学費や生活費の不足額、不足した経緯、奨学金やアルバイトによる収入の有無、親の資力や親の大学進学に対する意向などさまざまな事情を考慮して、親からの扶養の要否を判断すべきとしました。このように、さまざまな事情から親からの扶養が必要と判断される場合であれば、大学卒業まで養育費の支払いを求めることも可能でしょう。

Photo東川芳美 先生
弁護士法人不二 的場真介法律事務所 岡山支店
岡山市北区富田町2-13-12 コートサイドビル5階
TEL.086-238-6010
http://bengoshihoujinfuji.cocolog-nifty.com/benngosihoujinfuji/
奈良県奈良市出身。京都大学法学部卒業。京都大学法科大学院修了。2009年弁護士登録。民事、家事を中心に多様な事件を取り扱う。「迅速かつ丁寧な仕事を心がけています。お気軽にご相談ください」


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