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2015年1月 8日 (木)

これからの裁判の流れと量刑は如何に?

Q
知り合いの30代後半の男性の行った事件について法律に詳しい方、実務(実際に刑事裁判の経験者他)にお聞きします。

彼は今から4年半前(平成22年頃)にオークション詐欺を働き、当時本人は自首をしたようですが警察では取り合って貰えず(実際には他府県では何件か被害届は出ていたようです)

その後ほとぼりが冷めた本年になって初めて実家の方に関東の警察から刑事が二人訪れて任意で署の一室を借りて調書を作成して行ったそうです。

その後数回彼が本庁の方に足を運び調書の作成に協力し自宅に帰されたそうですが
その後調書は検察庁の方に渡ったようです。

されど彼は逮捕されず実家におります。

私は在宅起訴されるものと思いますが
これからどうゆう風に流れていくのでしょうか?

数か月後には一度検事のところに呼び出されてお金を払えば終わりと言われているそうですが
そう簡単に刑事が言うようにはいかないと素人ながら思われます。

量刑の判断は末端の刑事が判断出来る訳もなく検事が判断して起訴する訳ですから・・・

調書に具体的に載っている被害者はなんと4人、被害金額も60,000円にもならないそうです。
しかしそれでは警察も仕事にならないのか

追加で70名近い被害関係者の名前と金額を提出してきたそうですが
70名近い人=被害届を出している人ではないのです。


これは情状(悪い意味の情状で他にもこれだけやってますと検察に材料を提供したのだと僕は推測します)を検察庁に追加したものと思います。

彼は名前も知らない相手を追加されたため
私選の弁護士を雇いました。

しかし事実関係については争うことはしないそうです。
今やれることは4人の被害者の被害金額に3倍程度の色を付けて起訴前に弁護士に示談交渉をお願いしたとのこと。

彼は平成17年頃に詐欺罪で執行猶予を受けています。
これも被害者には3倍の被害損害賠償をしたといっています。

彼はその事件を起してからはその後一切の悪事は働いておらず
真面目にある資格職勤務をやっていましたが・・・・今回の送検のこともあり即座に仕事は辞めたようです。

それは国家資格だから禁固刑以上(執行猶予含)の有罪判決を受けると資格の登録を維持できなくなるからだそうです。

そこで皆さんに質問です。

この場合には彼は実刑が科せられる割合はどの程度でしょうか?
彼は平成17年秋に執行猶予判決を受け・・・その後平成21年から平成22年頃まで行った不祥事。
任意捜査が始まったのは何と平成26年の11月、検察への書類送検が12月という訳ですから
警察も何とのんびりした動きでしょうか・・・・

勿論、警察も状況証拠を調べたりして年月を費やしたのでしょうが
それにしても4年半以上経っています。
被害者も一人当たり10,000円~20,000円程度で総額でも800,000円ほどとのこと
弁護士費用の方が逆に高くつくそうです。

犯罪は金額の大きさではないはずですが・・・平成22年当時に被疑者が特定されてる時点で逮捕すれば良いものを・・・その点が不思議です。

彼は資格者ですから逃げも隠れもしてなったのです。
実におかしなお話です。


皆さんは彼のこれからの流れはどう思われますでしょうか
予想され得る量刑等も経験者の方はわかる範囲でお教え下さいませ

A
○「数か月後には一度検事のところに呼び出されてお金を払えば終わりと言われているそうですがそう簡単に刑事が言うようにはいかないと素人ながら思われます」
→そうであってもそんなにおかしくはないですよ。
ここで「お金を払えば」というのは「罰金」のことではなく「被害弁償」の意味と思われます(そもそも詐欺の法定刑に罰金はありません。)。
そう考える根拠
(1)執行猶予期間は最長5年ですから、現時点では前刑の執行猶予期間は確実に満了しています。したがって、今回の裁判所が執行猶予付きの判決をしても再度の執行猶予にはなりません。もちろん、前科がある状態で性懲りもなく再び犯罪に手を染めたという意味では犯情が芳しくはないわけですが、再度の執行猶予を付けるほど窮屈な条件(※)はありません。また、5年間執行猶予を取り消されることなく善行を保ったということは前向きに評価できる事情とも言えます。

※刑法25条2項は,執行猶予期間中に再び罪を犯してしまった場合であっても (1)1年以下の懲役・禁錮の言渡しを受け,(2)情状に特に酌量すべきものがあるときには,再度の執行猶予にすることができると規定します。したがって、執行猶予中に再犯をした場合は原則として実刑を覚悟しなければならないのです。

(2)さらに今回「自首」が成立していること(法定の減刑事由)、「被害金額が比較的軽微であることを考えますと、立件された事実の被害が完全に弁償され示談が成立(情状酌量できる事情)」しておれば、不起訴処分でもよさそうな気もします。

(3)おそらく、このケースでは検察官の意向は警察官にも内々に示されていると思います。したがって、警察官の勝手な放言ではない可能性があります(警察官が無責任な放言をして混乱することも少なくないのも事実です。)。

○情状送致された余罪の件数、被害額は決して小さくはなく、その意味では起訴されても不思議ではないですが、反面「被害者も一人当たり10,000円~20,000円程度で総額でも800,000円ほど」ということですから、絶対に助からないというほど多額ではありません。

○このケースでは、弁護人の被害弁償の努力によって、被疑者の運命が大きく左右される可能性があります。弁護人を通じて、被害弁償の意向が検察官に伝わって、検察官がかなり軟化しているものと思われます。弁護人の活動は奏功しつつあるとも見えますので、「弁護士費用の方が逆に高くつくそうです 」なんて無礼なことを言うとバチが当たりますよ。時間がかかっているのも、おそらく、検察官が弁護人が被害弁償にメドをつけるのを期待して待っているからではないかと思います。弁護人の奮闘を大いに期待したい事件です。

○起訴された場合は検察官の求刑は懲役1年6月前後ではないかと思います。その場合でも執行猶予の可能性はあります(前述した通り再度の執行猶予ではないので、わりと執行猶予にはなりやすいと思います。)。

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