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2014年8月17日 (日)

口頭退職の社員が不当解雇と話を変えた

Q
こちらは個人で英会話教室を経営しています。
先日、あるアメリカ人のアルバイト講師が寝坊したため2コマ分の授業を欠勤し
生徒さんに迷惑をかけ、教室にも金銭的および信頼の被害を与えました。1つは連絡なし、
次のクラスも「10分遅刻する」と言っていたのに結局25分遅刻で生徒さんは帰宅してしまいました。
彼は約1年勤務しており、4月以降、遠くに引っ越したことから朝早くの授業の遅刻が目立っていましたが(口頭にて何度か注意。朝早くは無理では?と聞いたけれど大丈夫頑張ると言っていました)、さすがにこれ以上教室としても信用ができないので、スケジュール変更を伝えました。

もともとは土日のそれぞれ9時からでしたが、彼もやっと今回、朝早くのクラスは厳しいと認めたため、今回の欠勤で問題のあった日曜(4クラス)は外し、土曜日の朝早いクラスも外して土曜の午前中遅くからの4クラスにすると伝えました。このスケジュールでしばらくやってもらい、また信頼できるようになったら徐々にクラスを増やしていくと。
ところが「日曜の生徒がお気に入りだから外すなら土曜を外して日曜に働かせて」とあまり反省の態度もみられず。スケジュールの都合上、日曜の朝早い1時間のみを外すとその一時間のためだけにほかの先生を探さなければならないし、そういう人事はできないからと伝えたところ、「じゃあ辞めます、僕の生徒達にサヨナラと伝えて」と辞職をしました。
他にも勤務態度に問題があったし、今回の折衷案も拒否されたのでこちらも受理しました。具体的には生徒からの苦情が多く彼のせいで退会した人も数名(トレーニングに反し、授業ではテキストを使わなかったり、無駄話が多かったり自分のことばかり話したり、日本語を多用したりという怠慢な勤務態度。口頭で注意も数回しました)、数回の遅刻、教室への経営妨害(振替レッスンを何度言っても勝手に生徒さんと調整しようとしてしまう。警告数回あり)、教材備品の無断持ち出し(何度かありメール警告でやっとやらなくなった)といったことです。

ところが、その数日後に「僕は辞めてない、不当解雇だから訴えてやる」とメールが来るようになり
何度「あなたから辞めたんでしょう。こちらがもう一度チャンスを与えようと思って提案したスケジュールも拒否して辞めたでしょう」と伝えても、「僕は辞めてない、僕はただ土日に働きたいだけなのに
不当解雇するなんて訴えてやる。解雇通知書をかけ」と10通以上もメールがきて、
「(平日は彼曰くものすごく責任ある立場の仕事をしているそうで)こんな僕のことを解雇するなんて
名誉棄損だ、訴えてやる」とも来ました。1週間後には教室の前に座り込んでいたところを他の講師に目撃されています(ものすごい顔で睨まれたそうです。自宅は遠いので不審に思い経営者から電話をしても応答はありませんでした)。
何度も教室の鍵を返してくれ、新しい住所を年末調整時に必要だから教えてくれとこちらから連絡したメールと電話には一切返事がなく、安全を考えて教室の鍵はこちらで取り替えました。

また余談ですが、数か月前、彼と昔隣の部屋に住んでいた女性が彼がうちで働いているか聞きたくて電話をかけてきました。うちは「個人情報は言えない」としか言えませんでしたが、
「彼に電動自転車や電子辞書を盗まれた(貸したけど返ってこないし、知らないと言い張る)、他にも少額だけど金銭的に被害を受けている女性も数人いる。警察に相談したら嫌がらせに郵便受けにごみを何度かいれられたが、証拠がないストーカー行為や貸したものが返ってこないのは警察は何もできないと言われた。そして夜逃げ同然に春引っ越してしまい、やっとこのあたりで働いていると情報をつかんだもので・・・」という電話でした。前職は備品盗難で解雇になっていると、前の勤務先から聞いたそうです。今回のうちの件とは無関係ですが、人間性に関して、火のない所に煙は立たぬ…だと思います。(ちなみに彼女は彼とは恋愛関係には一切ないそうですが、かなり腹が立っていて、こんな人間に日本の将来を担う子供たちの教育に当たらせるのは阻止したいということでした)

そして彼は昨日弁護士の名前と電話番号を伝えてきました(その時は電話に出た女性に「君が結婚してなければデートしたかったなぁ」とセクハラ発言。)まだ連絡が来ないので何を要求してくるのかわかりませんが…。こちらもメールのやり取りを持参して市の弁護士無料相談に行ってみましたが、
退職届が書面でないのでうちの立場はかなり弱いですよと言われました。生徒さんの一人が彼からラインで「平日の仕事が忙しいので土日は辞めることにした」と聞いたそうですが、ラインなので転送してもらうこともできず(その上裁判沙汰になるかもと聞いて生徒さんも巻き込まれたくないとまず言っていたので・・・)。

経緯が長くなりましたが、質問は

1.今後どうしたらいいのでしょうか?うちは小さい教室なので金銭的にも時間的にもそんなに負担はできません。(私は外国人の主人の経営する教室の手伝いをしていましたが、小さい子供が2人いて育休中です。)

2.証拠が弱い(退職届の書面なし、あるのは訴えるぞと始まった今回のメールやりとり、過去の問題行動に対する注意のメールが数通、あとは遅刻や怠慢な勤務態度に対する生徒の証言)のでやはり負けるのでしょうか?

3.向こうの訴状を見てみない事には…ですが、彼がお金目的だとしたら、
弁護士費用を払うよりも、「解雇」したことにして30日分のお給料を支払う方が安く、穏便に済むのでしょうか(ちなみに1か月約7~8万のバイト代でした)

4.もしまた働かせろということになった場合、「次回こういうことが起きた場合は辞めても仕方ない」という誓約書にサインしてもらうのも方法と聞きましたが(それでもその後警告が数回ないと解雇は無理だとききましたが)、働かせることにしてすぐに「やっぱりうちの教師には向かないからやめてくれ」と1か月前解雇通知をすることはだめですか?(人間としてかなり信用ができないのでこれは
リスキーだと思いますが)

5.2コマ欠勤した日に、3コマ目始まる前に「今日の欠勤分は生徒さんに授業料を返金し、それぞれ1時間ずつの無料レッスンもお詫びとしてしなければならない。これはうちの費用ではなく君の給料からひくことになる」と伝えました。後日、労働基準監督署に聞いたところ、同意したにしても、今回の様に話を捻じ曲げて嘘をついてくるような人ならそんなこと聞いていないと言いかねないから給料から天引きは(同意がないと)違法になるから一度給料を払ってから支払ってもらった方がいいと言われました。(労基は「裁判になっても勝てますよ!」と言ってたけれど、先日の弁護士さんに会って撃沈です…)小さな町出身で人がいい主人はもう面倒なことは嫌だから天引きせず払って、この実損害分の請求は忘れて、相手が訴えてこないことを期待しようと言っていましたが、やっぱり訴えてくるので
一応給料は支払いましたが(欠勤分を除いて)、これからその実損害分を請求していいのでしょうか?裁判になるまで待った方がいいのでしょうか?

今まで「正直の神戸に神宿る」を座右の銘に、間違ったことはせずまっとうな生き方をしてきました。
でもこんなにひどい人間もいるんだと思い、怒りといろんな感情で吐きそうになる位参っています。
相手の弁護士には彼が嘘を言っているのかどうかは関係なく、その方も仕事だからただ勝てばいいのだと思いますが、弁護士さんにも当たってしまいそうです(抑えるべきでしょうけど)。

どうか皆様のご経験とお知恵からアドバイスをいただければと思っております。
宜しくお願いします。

A
1 「今後どうしたらいいのでしょうか?」
→粛々と訴訟を受けて立つ準備をされるのがよいと思いますよ。
→勝敗の鍵は、口頭での辞職届(労働契約の解約の意思表示)があったことが証明できるかどうかにあります。
アルバイトの場合文書で辞職届を書かせることは少ないと思いますが、今後は必ず書いてもらうようにしましょう。
口頭での辞職届であっても、その存在が何らかの方法で証明できるかぎりは有効です。そして、辞職届が一旦受理された場合は撤回は自由にはできません。
相手のメールと当方のメールを正確に検討する必要があります。「僕は辞めてない、不当解雇だから訴えてやる」というメールは辞職願を撤回するという意思表示のようにも読めます。そうだとすると受理された辞職届を一方的に撤回することは許されません。
解雇通知書は出すべきではないでしょう。辞職願の撤回を認めたことになってしまいます。

2 「証拠が弱い(退職届の書面なし、あるのは訴えるぞと始まった今回のメールやりとり、過去の問題行動に対する注意のメールが数通、あとは遅刻や怠慢な勤務態度に対する生徒の証言)のでやはり負けるのでしょうか?」
→アルバイトの地位は正規労働者と比較すると大変に弱いものです。証拠は万全とは言えませんが、相手も決して強くはないのです。
お書きになっているような過去の問題行動、特に、全職場での窃盗、隣人からの窃盗、ストーカー行為、教室の備品の窃盗等がわかっていて、経営者が闘わないという選択をすることはないはずだと思います。基本的には勝負すべきなのだろうと思います。
生徒さんの一人が彼からラインで「平日の仕事が忙しいので土日は辞めることにした」と聞いたということですが、その画面を接写しプリントアウトした上で、その書面に作成日付と生徒さんの署名捺印をもらっておかれることを強くお勧めします。

3 弁護士費用を払うよりも、「解雇」したことにして30日分のお給料を支払う方が安く、穏便に済むのでしょうか。
→もちろんそういう決断をする場合もありますが、下手をすると、腰砕けになって相手につけこまれる結果になりかねません。
相手はもと雇用主の姿勢を見極めようとしているのです。毅然とした態度を崩すと、逆に足元を見られて訴訟を誘発することもありえます。
何でもかんでも「穏便に」という姿勢は、経営者としてはいかがなものかと思います。
訴状が来たら、きちんと信頼に足る弁護士を探して依頼をしたうえで、その指示に従ってください。交渉の出口として、1ないし数か月分の給料程度の和解金を支払って和解することは十分ありうると思います。弁護士費用の方が高くなっても、それは保険料みたいなものです。
こういう事件の処理には、時として他の従業員や顧客に対して経営者の経営姿勢を明らかにするという意味合いが強いことも意識されてよいと思います。

4 「『次回こういうことが起きた場合は辞めても仕方ない』という誓約書にサインしてもらうのも方法と聞きました」
「働かせることにしてすぐに「やっぱりうちの教師には向かないからやめてくれ」と1か月前解雇通知をすることはだめですか?」
→前半部分、これはよくないです。窃盗、ストーカー、セクハラなどの疑いがある人を教室に入れると、もっと深刻な損害を受ける危険があります。こんな毒にも薬にもならない念書と引き換えにそんなことをするという経営判断ってあるのかなあ。
後半部分、選択肢としてないわけではありませんが、こういう人の職場復帰を認めることが職場規律や顧客の信用を低下させる危険や、解雇予告した段階でやっぱり不当解雇だという主張に直面することはさけられないと思われます。

5 一応給料は支払いましたが(欠勤分を除いて)、これからその実損害分を請求していいのでしょうか?
→止めておきましょう。訴訟を受けるリスクを格段に増大させるだけです。

6 こういう場面では経営者の姿勢が試されることになります。目先の損得勘定にとらわれずに、原則的な対応をされるのがよいと思います。
それと市の無料法律相談は、学校の集団健診に毛が生えた程度のものです。精密検査などが必要な人を発見するのが目的です。こういう込み入った相談になると個々の法律事務所での有料相談でないと無理ですよ。労働問題に詳しい弁護士を探して相談に行ってください。

7 ではお大事に。

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