養育費調停への対応についてご教示ください。
Q
養育費調停への対応についてご教示ください。
元妻より一方的に別居され、一方的に離婚を求められました。
離婚の条件として元妻より「(0歳の一人娘)の親権をもらう代わりに、養育費等の一切の権利は求めない。」をもとに詰め寄られ、泣く泣く離婚することとなりました。
にもかかわらず数日たって、元妻から養育費調停を起こされました。このような元妻の言動には心情的に到底納得できません。
調停には出席し、これまでの経緯を含めきちんと主張しようと考えていますが、調停を起こされた以上、養育費の支払いはゼロにはならないということも弁護士から伺っています。
子どもには出産時を含め、2度しか会わせてもらえていません。抱っこもさせてもらえていません。一方的に詰め寄られ、養育費他を一切求めないという条件のもと、親権を手放し離婚しました。にもかかわらず、養育費の調停をおこされるなんて。
たとえ、養育費のい支払がどうにもならないとしても、何かなすすべはないでしょうか。
尚、話し合いの内容はお互いに録音しています。
私はどのように調停に臨み、今後どのように行動していくべきでしょうか。
詳しい方、アドバイスをお願いします。
A
○なんとも酷い話ですね。
○訴訟というものは、勝たなければ意味がありません。
そこで、質問者様にとって、「勝てる可能性がある戦場はどこか。勝てる見込みがない戦場はどこか。」の見極めが肝要です。
○もと妻が選択した養育費の戦場で、養育費の支払義務だけを受け身で争うのは最悪です。 民法881条は「扶養を受ける権利はこれを処分することはできない」と規定するので、そもそも養育費請求権を放棄するなんてことができるのかという問題があることを意識する必要があります。放棄できないとなると、早見表に従った養育費があっさり認められてしまうことも十分起こりうるのです(もちろん後述するような放棄に拘束力を認める別の考え方もありますが、裁判所がそちらの考え方をしてくれる保証はありません。)。
さりとて、調停を欠席するのもとてもマズイです。調停を故なく欠席されると、5万円以下の過料の制裁を受けることもありますが、それ以上に「無法者の烙印を押されてしまう」とその後裁判所で何をやってもいい結果にならない危険があると思われます。
○養育費調停だけで争うとすると、質問者様は、[養育費放棄の約束も一応有効であり、事情変更がない限り、守らなければならないものであるところ、「数日たって、・・・養育費調停を起こされ」という本件のケースでは事情変更はありえない]と主張することしかないですが、ご相談になった弁護士さんの見立て通り質問者様の劣勢は避けられないでしょう。
○親子関係を争うのは、質問者様自身「我が子だ」と確信されているわけだから、質問者様の感覚に合わないと言えます。結果はDNA鑑定の結果次第ということではあるのですが、それでも悩ましいものがあります。
質問者様が、その子との親子関係を疑い、嫡出子であることを否定しようとしたという芳しくない事実が残ってしまうのはどうしても避けられない場合以外は避けたいものです。
○私は、「養育費は請求しないから」と騙し、離婚が成立するとわずか数日で養育費調停を起こした点を詐欺ととらえて、離婚の合意に瑕疵を主張して離婚取消調停を起こす(民法746、747条)ことを第1にお勧めし、「子供と会わさない。子供を抱かせない。」ことを原因とする慰謝料請求をすることを第2にお勧めしたいと思います。
もと妻は離婚を取り消されたり、慰謝料を認められることには脅威を感じるでしょう。そこに互譲による利害調整の契機が生まれることが期待できます。できたら養育費と同時審理してもらう方が交渉に持ち込みやすいです。
離婚の詐欺取消も、「離婚交渉の録音」があるということなので、案外うまく行くかもしれないなと思っています。
○質問者様だけで進めることは全く無理ですから、経験豊富な弁護士さんに必ず依頼してください。
○では、お大事に。
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