養育費の合意の書面化
Q
私は、夫と離婚することになりました。離婚の条件としては、私が息子の親権を持ち、夫には養育費として月4万円を支払ってもらうことになりました。離婚の際、養育費について夫に一筆書いてもらえばよいでしょうか。
A
合意のみの書面だけでは強制力なし
公証役場や調停の場で調停調書の作成を
ご主人に一筆書いてもらえるのであれば、書いてもらうとよいでしょう。その書面は、あなたとご主人との間で、息子さんの養育費としてご主人が毎月4万円を支払うという合意をしたことの証拠にはなります。ただし、その書面には何ら強制力はありません。ご主人が約束どおり養育費を支払ってくれるのであれば何ら問題はありませんが、ご主人が約束どおり支払ってくれない場合には、その書面だけではご主人の財産を差し押さえることはできません。
そこで養育費について、公証役場で公正証書を作成するか、家庭裁判所に養育費についての調停を申し立てて、合意内容を書面(調停調書)にしてもらうとよいでしょう。公正証書や調停調書を作っておけば、ご主人が養育費を支払わなくなった場合、これらの書面をもとに裁判所に強制執行の申し立てをして、ご主人の預貯金・給料などを差し押さえて、養育費に充てることができます。
なお、調停成立後、ご主人が養育費を払ってくれない場合、家庭裁判所がご主人に対して、調停で決めたとおり養育費を支払うよう勧告してくれる制度もあります(強制力はありません)。
今井佳奈先生
弁護士法人不二 的場真介法律事務所 今井佳奈先生
Profile―――
福岡県出身。2008年司法試験合格。09年岡山県弁護士会登録。「離婚・相続、遺言作成、借金問題・交通事故・労働事件、刑事事件、その他広く取り扱っております。お困りのことがありましたら、お気軽にご相談下さい」
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