刑事裁判で被告人が控訴の場合の控訴趣意書とは?
Q
例えばですが
刑事裁判で東京地裁で判決が出て、
被告人が不服で控訴したい場合の
(1)
「控訴趣意書」とは何でしょうか? 控訴状ということでしょうか?
(2)
「量計不当」か「事実誤認」の趣旨で14日以内に提出でしょうか?
(3)
第一審で国選弁護だった場合は判決後に国選弁護人の使命はなくなると思ったのですが、
その場合は控訴趣意書は
・被告人が作成する?
・第一審から変更された第二審の国選弁護人が作成してくれる?
・第一審の弁護人が作成してくれる?
どうなるのでしょうか?
宜しく、お願い致します。
A
○「控訴趣意書」とは何でしょうか? 控訴状ということでしょうか?
↓
控訴状とは違います。
控訴申立人は,裁判所が定める期間内に,一定の不服の理由を記載した 控訴趣意書を提出しなければなりません。控訴審の審理のテーマを確定するための書面です。控訴趣意書に記載することのできる控訴理由は,法文に列挙されたものに限られます(384条)。
○「量刑不当」か「事実誤認」の趣旨で14日以内に提出でしょうか?
↓
14日以内というのは控訴状のことです。控訴申立人は、提出期限(通知の翌日から21日以後の日で控訴裁判所が定めた日)までに、控訴趣意書を提出することになります(刑事訴訟法376条、刑事訴訟規則236 条)。
控訴の理由は、「量刑不当」か「事実誤認」に限りませんが、いずれにしてもその出来の巧拙がものすごく重要なので、質問者様ご自身で作成できるような代物ではありません。
○第一審で国選弁護だった場合は判決後に国選弁護人の使命はなくなると思ったのですが、その場合は控訴趣意書は、
・被告人が作成する?
・第一審から変更された第二審の国選弁護人が作成してくれる?
・第一審の弁護人が作成してくれる? どうなるのでしょうか?
↓
そして、控訴趣意書の作成は控訴審の国選弁護人の職責です。
ただ、第一審の国選弁護人が控訴審の弁護人を引き受けていけないというルールはありません。第一審の弁護人が了解してくれれば引き続き控訴審でも担当してもらえる可能性はあります。ただ、裁判所によっては、「被告人は国選弁護人を選べないのだから、そんな勝手は許さない。控訴審で引き続きやってもらえる人と、やってもらえない人との間で不公平が生じる」と言って反対することがあります。不幸な方を標準とするとは何事だと思うので、抵抗したらいいと思います。
なお、第一審の国選弁護人の職務は、控訴の提起があるまで続きます。だから、第一審判決直後の再保釈請求は第一審の国選弁護人がすることが多いです。当然、控訴もできますが、私は控訴自体は被告人にしてもらうことが多いです。
○刑事訴訟では、「やむを得ない事由によって第一審の弁論終結前に取調を請求することができなかった」場合でない限り、新しい証拠 を取調べないという刑事訴訟法382条の2、393条第1項を厳格に適用し、被告人の証拠申請を全て却下することも少なくないので、被告人質問すらない場合があります。それだけに、控訴審の弁護人とよく打ち合わせをしてください。
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コメント
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私は保護観察の中で何度も窃盗繰り返してしまい、最高裁で棄却までされて、最終控訴趣意書の控訴して何とか、もう一度チャンスとしてやり直したいです!
投稿: 木村優子 | 2019年5月 2日 (木) 01時10分