内容証明と少額訴訟に関しての質問です
Q
内容証明と少額訴訟に関しての質問です。
私は「被告」にあたります。
少し変わった内容なのですが、2年前にある指導を依頼されました。
内容は瞑想方法やリラックス出来る呼吸法のやり方というもので、形のある商品を販売した感じではありません。
指導はSNSのメッセージでそのやり方をお伝えするといったもので、契約書などはありません。
指導を依頼されるにあたり、次のような内容をお伝えしました。
・期間に定めはございませんが、1ヶ月もあれば充分だと思います。
・認定書などはありませんし、成功報酬ではありません。
・壁にぶつかったり、判断に困った時は、いつでもサポートさせて頂きます。
2年前の1月からやり方をお伝えし始め、5月くらいまでやり取りがありました。
相手から「またご都合のいい時間に続きをお願いします」との連絡が2年前の5月にあったものの、お伝えする内容がほぼ終わっていたこともあり、完全に終了したとはお伝えせず、1年半が過ぎました。
その間、相手からも何の連絡もなかったこともあり、私としても何もアクションを起こさずにいました。
何度も連絡を頂いていたのなら、もめることもなかったと思います。(私としては指導は終了していたように認識していました)
相手は今になって、2年前の5月以降「指導の放棄をした」として、料金の返金要求の内容証明や少額訴訟をほのめかしてきました。
私としては「指導の放棄をしたつもりはない」ことと、通常なら1ヶ月程度で終わるものを5ヶ月程度指導していましたので「返金には応じられない」と伝えました。
商品の特性上、返金には応じられないという言葉を使いました。
確かに「またご都合のいい時間に続きをお願いします」とのメッセージは残っています(この連絡を頂いて調べて発見しました)、相手もそれを最後に何の連絡もなく現在に至りました。(何度も要請された訳ではありません)
SNSではずっと繋がっているのに、なぜ連絡もせず1年半も経った今、このようなことを言いだしたのかも分かりません。
弁護士にも相談しているような口ぶりですが、真意は定かではありません。
弁護士に依頼したとしても、栃木と山口なのでとても遠いですし、10万円にも満たない金額です。
仮に少額訴訟に関する内容証明が送られて来たとしても、それに応じるつもりはありません。
法律的に、どのような証拠で対応できるのかが知りたいです。
基本はSNSのメッセージでのやり取りなので、これといった証拠を提示するのが困難な状況です。
また、文章でお伝えしにくい部分の指導は電話でお伝えしました。
携帯のメールや通話内容はデータとして残っていません。
長くなりましたが、少額訴訟の内容証明が送られてきたとして、こちらとしてはどのような対応をすれば良いのかを教えて頂きたいと思います。
A
○この場合の原告(質問者様が「被告」になるので、先方を「原告」と呼ぶことにします。)の請求の法律構成は、債務不履行による損害賠償請求か不当利得返還請求かということになろうかと思いますが、いずれの構成でも、原告は、元々の契約で約束された指導方法、指導内容、指導期間、指導料などを主張したうえで、どの部分に不履行があり、その結果どれだけの損害が発生したかということを主張立証しなければなりません。
こうして具体的に考えると、原告が主張立証を組み立てるのもなかなか困難です。指導料総額が10万円未満、実際の指導期間が5ヶ月ということだと、何をもって債務不履行といい、不当利得というかも難しいと思います。つまりは敵にも証拠がなさそうな事件ということです。訴状を書きにくいのと、費用対効果で魅力も乏しいので、原告が本当に訴訟をおこしてくるか疑問に思います。
現在の原告の主張は「中途での指導放棄」ということですから、例えば「1年間は指導期間があるということだったのに、半年で指導を打ち切られた」というような主張をせざるをえないことになります。「上達しないうちに指導を打ち切られた」では全然ダメだと思います。被告は、原告の主張に対して、そんな約束はしてない(否認)、実際はこういう約束であり、その内容は履行済みであると主張していけばよいのです。
質問者様が、他の生徒さんにも同じ指導したことがあれば、そういった生徒さんに「私の場合は、先生からこういう指導期間、指導料で指導を受けました」などと証明してもらえばいいです(陳述書を集めて提出する)。あるいは、質問者様ご自身のホームページやブログなどはありませんか。あるいは同じような指導をされている方のホームページやブログなどはありませんか。
メール等も残ってないということですが、それはサーバーコンピューターにも残っていないということですか(SNSの管理者などに一度相談されてはいかがですか。こちらの掲示板の関係するカテゴリーで質問しても何かわかるかもしれません。)。
何かテキストとか教材(プリントやビデオ等)とか参考文献は渡していませんか。被告としても、指導内容の全体像を示せれば、1ヶ月もあれば指導できるという部分をより説得的に説明できると思います。
あらゆる場合を想定してここでご説明することはできません。したがって、訴状が来たらすぐに弁護士に相談して答弁書を書いてもらいましょう。自分だけで書けると思わない方がいいですね。もちろん自分である程度は書ける場合もあるでしょうが、このケースは少し込み入っているのと、いくつかの裁判例や解決例など(下記※参照)を踏まえておいた方がいいと思うので、ご自身ではたぶん不十分でしょう。
少額訴訟は一回の法廷で勝負がつくので、とても怖いところがあります。したがって、第1回の口頭弁論までにしっかりした答弁書や証拠を出しきっておきましょう。
余計なことですが、本件は「反訴」を検討する事件ではありません。医師法も関係ありません。
今後の教訓という意味でいうと、指導料に含まれる指導期間と指導の方法・内容については明示して合意をきちんと取っておかれることが大切です。契約のコアになる部分、「役務の内容(指導期間と指導回数、指導内容、指導方法(いつ、どこで、だれが、どうやって指導することになるか)、どこまでの結果が保証されるのかされないのか)、指導料(いつ、いくらをどういう形で支払うか。どういう場合に返金がありうるか、あるいは、「中途で受講を止めたとき等理由のいかんを問わず一度受け取った指導料は返金されないものとする」とするか。指導料に見合う内容は何か。)」といったことは、明快に説明し同意を得ておかれること、できれば文書で合意しておかれるのがよいと思います。
※最判平成18年11月27日判決
※英会話・ パソコンスクール・ 学習塾などに対する授業料返還請求の解決事例など
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