裁判の準備書面の「直送」で虚偽のものを送ったら
Q
裁判の準備書面の「直送」で虚偽のものを送ったら・・・
裁判の準備書面は、例えば原告から裁判所と被告にそれぞれ郵便やファクスで「直送」することが行なわれていると聞きます。
弁護士がやるのなら、それで問題ないと思いますが、本人訴訟でもそれをやると不安がないでしょうか?
本人訴訟にはとんでもない本人もいますので。
例えば、裁判所には準備書面の「1(2)ア」で「被告は100万円を絶対に支払うと発言した。」という準備書面を送って、被告には同じ準備書面の「1(2)ア」で「被告は100万円については検討すると発言した。」という準備書面を送って、被告が原告の準備書面の「1(2)ア」については「認める」という準備書面を出したら、自白が成立しますよね。
裁判所は、そういうことは考えてないのでしょうか?
A
○質問者様のご指摘される危険は当然あります。
○民事訴訟規則が改正される前は、そのような事故が起こらないように、裁判所が「訴訟上の通知の確認」をするために、準備書面も送達すべき文書とされていました。
○しかし、準備書面を送達すべき書面から外し、直送主義を採用したことは、これはこれでよかったのではないかと思います。
裁判システムは、手続きの信頼性の要請と、迅速性・利便性の要請の調和点を考えて設計されています。
○質問者様の懸念されるような事故を完全に防ぐには、直送をやめ、すべて書記官経由で送達という形式で受け渡しをしただけではだめです。当事者が準備書面の副本として出してくる書面が正本と一言一句違わないことを確認することを書記官に要求することは無理だからです。むしろ絶対的に事故を防止するには、当事者には裁判所用の1通だけを提出させ、書記官が裁判所のコピー機で写しを作成して相手方に送付するくらいしか手がないように思います。しかし、これも書記官の仕事を無闇に増やすだけです。
○他方、裁判手続を高速化するには、当事者間で準備書面等を直接やりとり、それもファックスを使って瞬時にやりとりすることがとても役立っており、相当な高速化が可能になっています。このようなメリットを利用者が享受するために、手続きの信頼性がどこまで道を譲るかということなのでしょう。
○直送主義は、当事者と裁判所間の情報の受け渡しに電子メールが採用されたときに、本当の威力を発揮すると思います。そして、それは遠い将来のことではありません。日本でも電子政府化が進められています。お隣の韓国では、既に裁判所と当事者の情報のやりとりは電子メールで行われているということです。
このような時代の要請もあるので、直送主義が後退することはないと思います。
○ご不安の弊害をコントロールする方策は別途工夫されるしかないと思われます。しかし、現実の法廷では、そのようにして掠め取られた自白は、誰の目にも不自然であることが多いと思われますから、判決に結び付くことは多くないと思います
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