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2013年10月 5日 (土)

HPは書証の原本確認にはならないのでしょうか?

Q
例えば、他の地方公共団体がHPで掲載している条例文を民事訴状の参考資料として、いわゆる書証としてPCから印刷して提出した場合。
裁判所がその書証の原本確認をする際、書証提出者が(1)アドレスを提示し、(2)裁判所がそのページを観ることで、原本確認にはならないのでしょうか?
確かに、インターネットのシステムは国が構築したシステムではありませんが、監督庁や、選挙にも利用されている昨今、役所のホームページを観ることで原本確認にならないのは不条理なような気がしますが・・
何か判例等はありませんでしょうか?

A
○まず私自身がどうしているかというと、
書証の標目は「○市のホームページに掲載された○市○条例」、原本写しの別は「写し」、作成者「○市」、立証趣旨「○市○条例の内容」などと迷わずに書きます。

○日本の民事法廷で広く行われている慣行として、「写しを原本として提出する」ということがあります。原本が存在しその写しであることについて当事者間に争いがない場合には、「写し」を原本として提出することが許されています。そして、裁判所は、証拠価値も原本を直接調べた場合とあまり区別せずに認めてくれることが多いようです。
ただし、当事者が「写しを原本として提出する」ことに異を唱え、原本との同一性に疑問があると考えれば、裁判所は、原則に戻って、写しではなく、原本を提出するように求めるのでしょう。特に、権利の発生・変更・消滅の原因となった証書などは原本で調べないと心証が採りにくくなる場合があると思います。
ホームページをプリントアウトすると、欄外にアドレスや日付等が印字されると思いますので、意識的にこの記載を残すようにして
原本となる「写し」を出力(プリントアウト)します。これは相手方当事者(特に訴訟代理人はホームページの確認を励行しておくべきだと思います。改竄も全くないわけではないからです。)や裁判所が本来の原本である電磁データにアクセスして確認する手がかりを与えるためです。

○そうすると
「HPは書証の原本確認にはならないのでしょうか?」というご質問には「なりません」という回答になります。プリントアウトされた「写し」が「原本」として調べられるわけですから、本来の原本であるサーバーコンピューター内の電磁データを調べることは省略されることになります。

○実は、こういう場合に証拠説明書の書き方には色々な考え方があるようで、裁判所によって違うことを言われることもあります。統一されてないことを不思議に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、個々の裁判所(裁判体)は互いに独立性を保ちながらそれぞれの見識で裁判業務を進めていくことを期待されたそれぞれが高い権威を持った存在なので、私は「これでいいのだ!」と思っています。
下記記事を比較されると面白いと思います。

http://ksawa2012.blogspot.jp/2012/08/blog-post_21.html?m=1
http://www.courts.go.jp/osaka/saiban/tetuzuki/onegai_syosikijyouhou/

○上に紹介した私の書き方でダメだと言われた経験はありません。どうしても心配なら、担当している書記官に相談してみたらいいと思います。ただ、勝敗には影響ないこんな部分にあまり固執していては、大切な本筋を見誤りかねません。
心血を注ぐべき戦場は、もっと別のところにあります。

【補足】
「本来の原本であるサーバーコンピューター内の電磁データを調べること は省略されることになります」 という点に関連して、省略される根拠はなんですか?

追加A
形式的には、「原本」はプリントアウトされた「写し」自体ということになるわけだから、プリントアウトされた「写し」と裁判所に提出される書証の同一性だけが確認されることになります。
こういったことが許されるのは、本来の原本と「写し」との同一性にほとんど争いがないと考えられる場合だからです。
また、同一性に疑義がある場合は相手方がその旨の異議を述べることができるので、一々原本を法廷に持ってこさせるほどの不便を当事者に強いることまでは必要ないと考えられます。
実質的に言うと、HPのサーバーコンピューター内のデジタルデータ自体は直接目に見える書証としては存在しません。したがって、プリントアウトされた物(性質としては写しであり、作成者はHPを作成している者であり、写しを出力した者ではないと考えます。意見が分かれるところでありますが、そう考えるべきだと考えます。誰がプリントアウトしたかなど裁判ではあまり重要ではないと考えるからです。)を原本とするしかないのです。相手方からデジタルデータと原本として提出された写し(出力されたもの)の不一致が主張・立証されると、その写しの信用性が否定されることになると思います。


■このQ&Aは、的場が、「bengofuji」のペンネームで「@nifty教えて広場」に回答した記事を、個人的にコレクションしているものです。また、質問部分については、長いすぎるものや質問者を特定する手がかりになりそうな記載は適宜短縮等しております。

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