« 親権者と監護権者の分離 | トップページ | 被害者の親って慰謝料もらえるんですか? »

2013年9月 2日 (月)

タイ人 義母が死亡した場合の相続放棄について

Q
タイ人義母の相続の質問です。
父がタイ人女性(義母)と再婚後、
父が先に死亡、義母がタイ国籍のままだった場合、
将来、義母が死亡した際、相続はタイ国民法に準拠するそうですが、
この場合、相続放棄は可能ですか

この義母とは面識もなく、父が反対を押し切って結婚をしました。
父が死亡し、遺産は遺言通りにしました。
その後、タイ人義母との連絡は取れません。

この先、義母が死亡した場合、相続を拒否したいのです。
日本では義母の相続権はありませんが、ネット上で調べた所、
タイの相続は死別したした日本人配偶者(父)の直系も含むらしいのです。
血統もない死別した配偶者の直系にも相続権がある といういうのは、
腑に落ちないのですが。

義母は私と同年代なので、私が先に死亡し、
相続対象が子供に相続が行く可能性もまります。

相続には、もちろん負債も含まれるので、
もし、将来、「タイ民法」によって、この義母の負債が相続として
私や家族にのしかかったら、と思うと、夜も眠れない程不安になります。

どなたか、是非とも、知恵を貸して下さい。
何卒宜しくお願い申し上げます。

A
○タイ国の相続法についてのタイ国民商法の条文等について信頼に足るテキストをウェブ上で見つけることができませんでした。しかし、王制をとるタイ国の相続制度は我が国のそれとは大きく異なっているようです。したがって、正確なことをお答えする能力はありません。「血統もない死別した配偶者の直系にも相続権があるといういうのは 腑に落ちないのですが 」と書かれている点はもっともだと思います。この点に答えが出せないままに、少し考えてみます。
○法の適用に関する通則法第三十六条は 「相続は、被相続人の本国法による。」と定めています。
タイ国籍の義母の相続に関する準拠法はタイ国法となり、相続放棄についての準拠法もタイ国法ということになります。
○ジェトロのホームページに次のような記事がありましたので、タイの相続法も相続放棄を認めているようです。

「47/T1)(2010年5月) タイの相続法について、(1)相続放棄の規定の有無、(2)(相続放棄規定がある場合は)その要件・条件・方法等 棄の要件等につきましては、第1612項、第1613項が該当するものと思われます nheritance laws | Civil Code on succession and inheritance http://www.thailandlawonline.com/Laws/inheritance-laws-civil-code-on-succession-and- inheritance.html (2011年10月) タイの民商法典原文 原典では「Pramūan Kotmāi Phǣng læ Phānit, bap 1-6 p」
○ところで、法の適用に関する通則法第十条は「法律行為の方式は、当該法律行為の成立について適用すべき法(当該 法律行為の後に前条の規定による変更がされた場合にあっては、その変更前の法)による 2 前項の規定にかかわらず、行為地法に適合する方式は、有効とする (以下省略)」と定めています。したがって、相続放棄の方式はタイ国法によってしてもよいし、日本で手続きをする場合は、日本法を適用して日本の家庭裁判所に対してすればよいことになると思います。どの地域の家裁が管轄を持つのかという問題はありますが・・・。
○以上の難解すぎる説明で何が言いたいかということですが・・・。
特別大きな借金が出てくることを心配しなければならない特別な事情がなければ、「心配しすぎる必要はないでしょう。」というのが結論です。
日本のような戸籍制度がないタイ国にいる債権者が、義母の法定相続人を特定し、それも日本での住所を特定することは困難を極めるでしょう。執行の困難さも考えると、たぶんそんなことはやらないでしょう。万一、それをやられても、請求があってから相続放棄してもこの場合は間に合うと思います。その理由は、義母と音信がないわけですから義母が死んでもすぐにわからなくて当然ことや、義母の死亡を知ったとしてもひどく相続制度が違うタイ国籍の義母が死亡により日本人の質問者様が相続人になることは容易に想定しがたいからです。
○もっとも、義母が途方もない莫大な借金を負っていることを心配しなければならない特別な事情がおありでしょうか。あれば、そのリスクに応じた精密な対処が必要になります。そして、その対処のためには、このような相談掲示板の利用では全く不十分です。タイ法を扱っている渉外法律事務所に法律鑑定を求めてください。かなり費用がかかりますが、それは仕方ありません。
○最後に
法律家の能力は、難しいことをいかに平易な言葉でわかりやすく説明できるかで計ることができますが、今回の私の説明を読み返すと全然だめですね。
この回答をするために、タイの相続制度について書いたウェブ上の記事を色々読ませていただきまして、日本法とタイ法との違いに新鮮な驚きを感じました。相続税も固定資産税もない国ってすごいですね。
タイという国を旅行したくなりました。
あまりお役にたてませんでしたが、今回はこんなところでご勘弁を。
ではお大事に。

« 親権者と監護権者の分離 | トップページ | 被害者の親って慰謝料もらえるんですか? »

離婚事件・家事事件」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: タイ人 義母が死亡した場合の相続放棄について:

« 親権者と監護権者の分離 | トップページ | 被害者の親って慰謝料もらえるんですか? »

プロフィール

フォト

内容2

  • home
  • 報酬規定
  • 的場の主張
  • 法律相談Q&A
  • 雑記帳
  • 来訪者記帳所

よしなしごと

  • よしなしごと

カテゴリー

最近のトラックバック

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想