子供のいない夫婦の相続について
Q
10年前に夫が亡くなり、その直後に夫の母親が亡くなりました。
義父は、ずいぶん前に亡くなっています。
私には子供がいないので、義弟に相続の権利がありますが、
当時、義弟が夫の財産を放棄すると言ってくれたので
私も義母の財産を放棄しました。
最近になって、夫の財産の義弟の取り分は、4分の1と知り、
急に、義母の財産の私の取り分はどのくらいだったのだろうと知りたくなりました。
義母の財産の相続権利はどのくらいあったのでしょうか?
義父が亡くなった時には、相続はまったくしていません。
詳しい方、よろしくお願い致します。
A
○「義母の財産の相続権利はどのくらいあったのでしょうか?」
↓
結論から申しますと、今回の義母様の相続については、質問者様には相続権はありませんでした。
義弟の立場と比較するとアンバランスな感は否めませんが、それが現実です。
○もし、義母が亡くなった後に夫が亡くなられた場合だと、夫が取得した義母の財産に対する相続分(2分の1)をあなたと義弟が相続することになり、あなたは、2分の1×4分の3=8分の3を相続することになったと思われます。
○また、質問者様と亡夫の間に子Aがいた場合であると、亡夫が取得したであろう義母の財産に対する相続分(2分の1)を子Aが亡夫に代わって代襲相続することになったと思います。
○今回義弟が相続を辞退してくれたからよかったようなものの、権利を主張されたら大変なことになるところでした。
○「私には子供がいないので、義弟に相続の権利がありますが」「夫の財産の義弟の取り分は、4分の1」という点は、義母が亡夫と義弟の共通の母だとすると、まずは義母が相続人として出てきて、かつ、その相続分は3分の1ということだったかもしれないのです。おそらく、義母が正式な相続放棄をしたために義弟の順位が繰り上がったのかもしれませんね。詳しくは、わかりづらいと思いますが、下の【相続人の範囲や法定相続分は、民法の定め】を参照してください。
○結婚して夫名義でマイホームを建て、夫婦で苦労して住宅ローンを払い終えて、夫が亡くなった途端に、姑や小姑が相続人として現れ、3分の1とか4分の1の相続分を主張されたら、子もなくして一人残された妻は世をはかなむのではないでしょうか。
こういった事態を防ぐためには、遺言書を書くしかないのですね。
私は、「子のない夫婦には遺言書が必要だ」とやかましく忠告しています。
質問者様に申し上げても手遅れですが、質問者様の周囲の子のない奥様方にぜひ教えてあげてください。
それにしても、義母様と義弟様が理解のある方で本当によかったですね。
【相続人の範囲や法定相続分は、民法の定め】
で次のとおり定められています
(1) 相続人の範囲
死亡した人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人は、次の順序で配偶者と一緒に相続人になります
第1順位 死亡した人の子供
その子供が既に死亡しているときは、その子供の直系卑属(子供や孫など)が相続人となります。子供も孫もいるときは、死亡した人により近い世代である子供の方を優先します
第2順位 死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)
父母も祖父母もいるときは、死亡した人により近い世代である父母の方を優先します
第2順位の人は、第1順位の人がいないとき相続人になります。
第3順位 死亡した人の兄弟姉妹 その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子供が相続人となります 第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になります
なお、相続を放棄した人は初めから相続人でなかったものとされます また、内縁関係の人は、相続人に含まれません
(2) 法定相続分
イ 配偶者と子供が相続人である場合 配偶者1/2 子供(2人以上のときは全員で)1/2
ロ 配偶者と直系尊属が相続人である場合 配偶者2/3 直系尊属(2人以上のときは全員で)1/3
ハ 配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合 配偶者3/4 兄弟姉妹(2人以上のときは全員で)1/4
なお、子供、直系尊属、兄弟姉妹がそれぞれ2人以上いるときは、原則 として均等に分けます また、民法に定める法定相続分は、相続人の間で遺産分割の合意がで きなかったときの遺産の取り分であり、必ずこの相続分で遺産の分割を しなければならないわけではありません(民法887、889、890、900、907)
この原稿は、書き上げた時点で質問が締め切られたため投稿し損ねたものです。埋もれさせるのはもったいないので、ここにアップロードしておきます。
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