夫からの暴力の救済制度として、「保護命令」というものがあると聞きましたが、どのようなものでしょうか。
Q
夫からの暴力の救済制度として、「保護命令」というものがあると聞きましたが、どのようなものでしょうか。
A
加害者に対して接近禁止や退去命令
事前に警察などに相談の上、申し立て
「保護命令」とは、裁判所が暴力をしている配偶者(加害者)に対し、(1)被害者(配偶者から暴力を受けている人)への接近禁止(6カ月間)や、(2)住居からの退去(2カ月間)等を命じるものです。(1)の接近禁止命令は、被害者の自宅だけでなく、被害者の勤務先などでの付きまといや徘徊(はいかい)も禁止してもらうことができます。必要な場合は、電話・メール等の禁止、被害者と同居している子どもへの接近禁止や、被害者の親族等への接近禁止も可能です。
保護命令の申し立てには、基本的にはあらかじめ警察や配偶者暴力相談支援センター(名称は「女性センター」などさまざまで、各都道府県にある)に相談をしておく必要があります。
保護命令が出されると、裁判所から警察や相談をした配偶者暴力相談支援センターに通知されます。加害者が同命令に違反した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。
保護命令は、戸籍上夫婦の場合だけでなく、事実婚の場合も申し立てができます。また、すでに離婚していても、離婚前から暴力を受けており離婚後も暴力の恐れがある場合は、保護命令の申し立てが可能です。他方、内縁関係に至らない場合には、保護命令の適用外となりますので、ストーカー規制法による対処や接近禁止の仮処分による対処を検討する必要があるでしょう。
今井佳奈先生
弁護士法人不二 的場真介法律事務所 今井佳奈先生
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福岡県出身。2008年司法試験合格。09年岡山県弁護士会登録。「離婚・相続、遺言作成、借金問題・交通事故・労働事件、刑事事件、その他広く取り扱っております。お困りのことがありましたら、お気軽にご相談下さい」
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