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2013年8月19日 (月)

もらい物を返せと言われ困っています。

A
半年程前、知人に機材を数点譲り受けました。当時彼は口頭ではありますが、もう使わないからあげるよとたしかに言っていました。


しかし、最近になりまた必要になったから返せと言ってきています。
彼の主張は、あげた覚えはない、貸していただけだ、返さないなら親戚の弁護士に頼りお前を訴える。とのこと。

当時の私は、もらった数点の機材全てが魅力的だったため、写真を撮りBlogにアップしました。当時のBlogにも、もらったとたしかに書きました(今現在そのBlogがあるかは不明)。私は、その知人の目の前でBlogを更新したので、もし本当に貸した気でいたならその時指摘してくるはずです。

証人になるかは解りませんが、当時のやり取りは私の恋人が目撃しています。

私は今でも使っているので、返す気はありません。

もし訴訟された場合、私はお返ししないといけないのでしょうか?またはそれ相応の代金をお支払いしないといけないのでしょうか?

私は学生の身であるため、弁護士に相談したり雇ったりするお金がありません。

ご回答いただけると幸いです。
何卒ごよろしくお願いします。

A
○私は、胸を張って「あなたはあげると言って渡してくれたのだから、今は私のものです。」と主張なさったらよいと思います。
実をいうと彼の視点に立って考えた時、あなたにそのような主張をされてしまうとなかなかやっかいなのです。自分の意思で機材をあなたに渡していることは動かないでしょうから、「そのときはあげたのに、後で心変わりしただけなんじゃないの。」というようにも見えるのです。
彼は「あげたのではなく、無償で貸しただけです」というしかないですが、「それじゃ返還する約束があったという証拠はあるの?」と言われると困ってしまうのです。
「書面によらない贈与」については贈与者は撤回することが、可能なのですが、既に履行した部分については撤回できなくなります。(民法550条)
飲み屋のママの気を惹こうとして「今度、あのオパールの指輪買ってやる」と口約束しても、翌朝「やっぱり止めた」と言えるのです。しかし、ママにそのオパールの指輪を買い与えてしまった後には「気が変わったからあれは返してよ」とは言わさんよというわけです。
世の中には「書面によらない贈与」なんてそれこそ掃いて捨てるほどあるんです。特に、男女間の愛情や好意などがからむ場合、そのような感情が満たされなくなると、手のひらを返したようにそれまでのプレゼントを根こそぎ取り返そうとされる方がいます(決して珍しくはないです)。そういう方の要求を簡単に認めてくれるほど裁判所は甘くないのです。
○難しい言い方で恐縮ですが、彼の親戚の弁護士さんが、所有権に基づく物権的返還請求権で攻めるか、使用貸借に基づく返還請求権で攻めるかという戦術選択によっても後の展開が多少違ってきそうです。あなたの防御の巧拙(上手か下手か)によっても、異なった展開がありそうです。
仮に使用貸借だということになった場合ですら、返還時期がきているのかという問題が残ります。
要するに、勝つこともあれば、負けることもあるということです。
○ある人の所有していた動産が、別の人の手に渡っているという場合に、あげたのか(贈与)、貸したのか(使用貸借)、預けたのか(寄託)の見きわめがつきにくいことがよく起こります。
最終的には、公平な第三者(裁判所)にいずれであるかを判定してもらうしかありません。
裁判所は、あなたと彼の人間関係、交渉経過、機材の価値、証人その他の証拠等々を総合判断して判定を下すことにならざるをえないのでしょう。
○あなたが書かれている事情はすべて大切な事実(贈与の成立を推認させる間接事実)ですから、適切に証拠化しておく必要があります。ブログ記事も探してプリントアウトしておいてください。恋人からもしかるべき証明をもらっておきましょう。
そして、ここがポイントですが、内容証明郵便でそのような経緯であったことを具体的に主張しておかれることです。その内容証明郵便も立派な証拠なのです。
もうひとつ。今後の彼との交渉はすべて録音しておきましょう(当然隠し録音でいいですよ)。彼はその時はあげる気もあったが事情が変わったというような発言をするかもしれません。「今の恋人と別れてぼくと交際してくれるのならあげてもいいけど」などという発言でも録音されたら、彼は終わりです。
○交渉とか裁判とかは生き物です。これからの双方の動きでどんどん形勢が変化します。
あなたが権利のための闘争を断念したとき、そのときにあなたの権利喪失は決定的になります。法は権利の上で眠る者は決して保護しません。権利はこれを主張して闘う者のためにあると考えてください。
彼との人間関係など諸般の事情を考えてあえて闘争を断念するという選択肢ももちろんあります(私もどちらかというと控えめで大人しい方とお友だちになりたいです)。しかし、あなたが負け戦だと早合点する必要は決してありません。あなたの持っている証拠も決定的に強力とまでは言えないが、彼もろくなカードを持っていませんね。その機材が現にあなたの手の内にある、そしてそれは紛れもなく彼の自由意思によってもたらされているという事実の重みは軽視できません。
○あなたは学生さんで所得はないと思うので(失礼)、法テラスを利用した弁護士の法律相談(無料になると思います)を受けて、前述の内容証明郵便の書き方でもご指導いただいてみたらどうかな。いい社会勉強になりますよ。

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