面会交流権
離婚して離れて暮らすことになっても親子であることに変わりありませんから、離れて暮らす子と、親子として交流を持つことは法的に認められています。これを「面会交流権」と言います。面会交流権は無制限なものではなく、子の健全な成長を第一に考えて制限を加えられる性質のものです。
親子関係、夫婦関係など考慮して判断
親への恐怖心やDV、多くは面会不可
では、子の健全な成長のためになるかならないかの基準とはどういうものでしょうか。その判断は、子、子と生活する親、子と離れて生活する親、両親の関係など、さまざまな要素を考慮して判断されます。例えば、子が離れて生活する親に恐怖等の感情を持っている場合は認められないことが多いです。ただ、両親間の対立が激しいことで当初は不安感を示していても、面会の方法を工夫することで不安を解消できるかどうかも考える必要があります。
子と生活する親が面会に反対していても、子の年齢や成長状況から子に悪影響が出ない方法での面会が可能であれば、面会交流を認めることになります。なお、子と離れて生活する親が、子と生活する親に対してDV(ドメスティックバイオレンス)が認められた事案の多くでは、面会交流は認められていません。
養育費の未払い影響するとは限らない
養育費を払わない親には面会交流を認めない、とは必ずしも結論づけられません。ただ、経済的に養育費を支払う能力がありながら、理由なく養育費を払わないことで子の成長を害すると結論付けられるケースでは、認めないとの判断になることもあるでしょう。
子の成長に沿った円滑な面会交流を
人と人との交流の仕方が多様ですから、面会交流の具体的な方法もさまざまです。定められた面会交流が履行されない場合には、強制執行等の手段もありますが、そのような方法によって子の健全な成長に沿うような面会交流が実現できるかは疑問です。両親の対立の影響なく、子の健全な成長という視点で面会交流の実現を図ることが大切だと考えます。
東川芳美先生
弁護士法人不二 的場真介法律事務所 東川芳美先生
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奈良県奈良市出身。京都大学法学部卒業。京都大学法科大学院修了。2009年弁護士登録。民事、家事を中心に多様な事件を取り扱う。「迅速かつ丁寧な仕事を心がけています。お気軽にご相談ください」
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