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2013年8月29日 (木)

私の弁護士になりたい動機は間違っているでしょうか?

Q
私は、弱者を助けたい、自分の正義を実現したい、金と地位がほしいとは思っていません。
金と地位がほしいなら起業します。
弁護士は弱者だけを助ける仕事ではありません。
正義か不正義かを決めるのは弁護士ではなく国と裁判官です。

弁護士の仕事はクライアントの要求に対して法律を駆使して弁護をし、有利な方向に導くことです。
いくら世間で悪質と言われていることをした人でも全力でクライアントの有利な方向に導くことが弁護士の仕事です。
弁護士は弱者や正義など語ってはいけないのです。
それは世間やメディア、自分の凝り固まったどうしようもない先入観でしかないのです。
間違った善意は悪意より始末が悪いのです。
いくら世間一般で悪質と言われようと裁判で判決が下されるまではなにが正義か、善か悪かなんて決まらないのです。
ゆえに弁護士はどんな内容だろうが全力でクライアントを有利な方向に導かなければならないのです。
言ってみれば、正義なのか不正義なのか、クライアントを生かすも殺すも弁護士の腕次第と言えるのかもしれません。
私が弁護士になりたい動機はこのような仕事がしたいからです。
間違って解釈しているのかもしれませんので詳しい方に回答してもらえると幸いです

A
○民事について
この社会では、それぞれの人が自分の権利あるいは正義を振りかざして争います。その争いについて証拠を調べ法を適用していずれの権利を認めるかを裁定するのが司法の作用です。弁護士を目指そうと言う人が「事実はひとつだ」「必ず正義は勝つ」なんて幻想にとらわれることは禁物です。
自分の権利あるいは正義のための闘争をしようとされているクライアントのために全力で奉仕するのが弁護士の使命であって、弁護士が個人的な意見に凝り固まってクライアントの利益を害することがあってはならないというあたりまではあなたの意見を支持できます。
以下に述べる点については、私はあなたといは若干違う意見を持っています。
司法が正常に機能していない社会にあっては、弱者は常に強者に蹂躙され、食い物にされるわけですが、プロの弁護士の協力を得て、公平な裁判所の前で攻撃防御を尽くし、裁判官が法と証拠のみに基づいて勝者を決めるのであれば、「弱者が負けるとばかりは限らない」「勝った方を正義とすることを合理的に説明できる」可能性がある仮想空間というか戦場が生み出されるわけで、その戦場でクライアントのために権利のための闘争を繰り広げる戦士が弁護士でしょう。そして、そのような弁護士の活動を通じて実現されるのが法の支配というものなんでしょう。
全体としての弁護士は法の支配を成り立たせるための仕掛けなので、弱者保護(社会的弱者であるがゆえに正当な権利まで奪われることがないようにという程度の意味であり、社会的弱者が正義なのだと言っているのではありません)や正義を語れない弁護士にはたして存在意義があるのかいなという気もします。また、弁護士という存在が本質的に持っている暴力性をしっかりとコントロールする倫理性を備えているから弁護士なんでしょう。
社会的強者の側に立って活動することも少なくないのも弁護士ですが、だからといって、クライアントの明らかに不当な欲望を実現することに不当な法的手法で手を貸すことは拒絶するのも弁護士です。
「強くなければ生きていけない、優しくなければ生きていく資格がない」ですよ。
○刑事について
誤判冤罪を防止するために,刑事訴訟では,検察官とプロの刑事弁護人とを 疑わしきは被告人に有利に」等という検察官に不利なルールで法廷で対決させ,それでも検察官が有罪判決を得たならばその刑罰権発動は正しいとされてよいと考えるのです。刑事弁護人は国家が予め用意した妨害者であり,弁護人の任務はあらゆる知恵を振り絞って無罪またはできるだけ軽い刑を求め,国家刑罰権の発動に抵抗し妨害することです。多くの場合は,弁護人の懸命な抵抗は検察側の激しい攻撃によって乗り越えられていきます。弁護人の頑強な抵抗・妨害を乗り越えることで,国家刑罰権の正当性が試されるのです。
弁護士は犯罪を犯した人に寄り添い、国家刑罰権に抵抗しますが、だからといって犯罪に加担するわけではありません。弁護人の軸足は確実に正義の側に置かれており、その立場から捜査機関や裁判機関の行きすぎを牽制するのです。クライアントに迎合して動いていたらそれこそ弁護士バッジがいくつあっても足らないでしょう。
○あなたは良い弁護士になれる見込みがあると思います。現在のご意見をすべて支持するわけにはいきませんが、そういったことを何も考えずに、ただ単に司法試験用の法律知識の暗記だけに血道をあげている若者よりは見所があるように思いました。今後は夢を夢だけに終わらせない地道な努力を期待します。
○還暦が近くなった弁護士からのエールでした。

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