裁判所の手続きを利用した離婚について
いざ離婚したいとなったとき、夫婦で決めるべきことは、未成年の子の問題と金銭の問題です。未成年の子がいれば、離婚後の親権者はどちらか、養育費をどうするかを決める必要があります。金銭的には、夫婦で築いた財産をどう分けるか(財産分与)、離婚する原因が一方にあれば慰謝料の問題も生じます。
夫婦で話がつかない場合は
家庭裁判所で調停申し立て
夫婦でこれらの話し合いができればよいですが、話がつかない場合、裁判所で解決する方法があります。裁判所で解決と言っても、いきなり公開の法廷での裁判をすることはできません。まずは家庭裁判所に調停を申し立てることになります。調停委員を交えて、話し合いによって解決を目指す手続きです。調停での話し合いは、調停委員がいる部屋に相手と交代で入って行いますので、相手と同席することはありません。
合意で調書が作成されれば
慰謝料や養育費支払いを強制執行
調停で話し合いがつき、調書として作成したときは、判決が確定したのと同じ効力が生じます。例えば財産分与や慰謝料について、一方が他方に支払うよう話がつき、調書にその内容が記されたとします。相手が支払わないときは、裁判所から履行の勧告や履行命令を出してもらえます。それでも相手が支払わなければ、給料や財産に対し強制執行をすることもできるのです。
養育費についても、調書に記していれば一度でも滞納された場合、過去の滞納額だけでなく、将来支払われる分についても強制執行することができます。
調停でも解決しなかった場合
裁判所による「審判離婚」も
調停でも話がつかなかった場合、最終的には訴訟で解決しなければなりませんが、その前に家庭裁判所で「審判離婚」をしてもらう方法もあります。「審判離婚」は、双方の一切の事情を考え、裁判所が離婚の審判をする制度です。
裁判所の判断なら従うという相手なら有効です。ただ、審判に不服があれば、一定期間内に異議を申し立てて審判の効力を失わせることもできますので、相手によっては訴訟を提起したほうが適当な場合もあるでしょう。
東川芳美先生
弁護士法人不二 的場真介法律事務所 東川芳美先生
Profile―――
奈良県奈良市出身。京都大学法学部卒業。京都大学法科大学院修了。2009年弁護士登録。民事、家事を中心に多様な事件を取り扱う。「迅速かつ丁寧な仕事を心がけています。お気軽にご相談ください」
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