別居についての約束事を破ったら?
■質問
妻の立場で相談させていただきます。
離婚に応じてもらえなかったので、今年の1月から条件付の別居をしています。
その条件の中に
・夫の婚姻費で生活する。(無駄遣いが無ければ上限は無し)
働く場合は夫の扶養内で
という決まりを作ってありました。
私側からの考えでは離婚前提の別居ですので、扶養を出るような収入がないと今後が心配です。
上記の約束を作らないと別居すらできなかったので応じてしまいました。
このような場合、夫の反対を押し切って勝手に働き出してしまうと後々不利になってしまいますか?
知識が乏しくてすみません。
よろしくお願いいたします。
■回答
「夫の婚姻費で生活する(無駄遣いが無ければ上限は無し)。働く場合は夫の扶養内で」 という話は、妻にとってかなりよい条件のようにも思えますが、十分生活できる程度の厚待遇というわけでもないのかも知れません。このあたりの実情はどうなんでしょうかね。実際にもらっている金額、未成年子の有無、あなたの年齢、職業経験、保有する資格等の条件によって、判断にかなり差が出てきます。このあたりはご自身でご判断ください。
こういう決め事をする夫側の動機って何なのでしょうね。私は2つの場合があると考えました。
1 妻の経済的自立を遅らせて、離婚を遅らせる。離婚を言い立てる妻を、別居までは認めて少し落ち着かせながら、復縁のチャンスを探る。
→妻に対する愛情、夫のプライドがある場合
2 扶養手当や妻の配偶者控除が無くなると、たちまち実際の夫の手取り額が減る。
→配偶者控除の範囲内では妻の勤労を許容していることからするとこちらがメインの動機なのでしょうか。
そこで、「夫の婚姻費で生活する(無駄遣いが無ければ上限は無し)。働く場合は夫の扶養内で」 という約束に違反した場合はどうなるかということですが、「あなたがたくさん収入を得た結果、夫の手取り収入が減ってしまった時は婚姻費用の金額を減額する。あるいは、無制限という条件が悪くなる。」ということくらいではないでしょうか。しかし、これはむしろ当たり前のことです。婚姻費用の金額を家庭裁判所で決めてもらう場合には、夫婦それぞれの収入を明らかにして算定表(下のリンクを参照)を適用して決めるわけですから、夫婦の収入に大きな変動があれば見直しは当然ということになります。
あなたが離婚後の経済的自立をめざす以上は、この約束を守れないのは自明のことのように思えます。したがって、十分な安定収入を得られるならば就職をためらうことはないと思われます。
他方、別の考え方としては、夫からもらえる婚姻費用が厚待遇な場合は、その中から少しずつ離婚のために使える軍資金をタンス貯金しておく(銀行等の預貯金は避けた方がいいですよ。理由はわかりますよね。)とか、より有利な就職をするための職業訓練・資格取得をしておく手もあるでしょうね。別居までの闘いであなたも心身共に疲労しているし、ここまでは無我夢中だったでしょうから、少しエネルギーを蓄積しながら、今後の人生計画を練り直すことも必要かもしれません。
なお、あなたの地元自治体の男女共同参画センターなどを訪ねてみると、良い情報が得られるかもしれませんよ。離婚をされる女性向けのIT講座、簿記講座などを無料でやっている自治体もあります。しっかりした相談員と出会えると今後の展開がまた面白くなるかもしれません。
ではお大事に
参考URL:http://www.rikon-navi.jp/shiryou/santeihyou/koninhiyou/index.html
■お礼
回答ありがとうございます。
お恥ずかしい話ですが、彼の前でだけ精神的なものから来るような症状が出てしまうので、別居という形をとることとなりました。(離婚に応じてもらえなかったので)
婚姻費は無くても良いと考えています。
簿記の2級は短期間で取得しました。現在は今後のことも考え、行政書士の勉強を始めています。
今回、約束違反によって別居を解消せざる負えなくなったり、離婚の際に不利になることを心配していました。
子供も来年度から、できれば保育園に入れたいと考えていたので、今の状況では厳しいかと思い相談させていただきました。
■追加回答
○「約束違反によって別居を解消せざる負えなくなったり、離婚の際に不利になることを心配していました」
→別居の解消事由になることは心配しなくていいです。
○「子供も来年度から、できれば保育園に入れたいと考えていたので、今の状況では厳しいかと思い」
→そうでもないと思いますよ。ただ、保育園の待機児童が多くて苦労されるお母さんが少なくないのはいずこも同じ。行政に聞いてみるのが早道。
○オー、優秀優秀。簿記の資格ももう取得されましたか。これからは行政書士の勉強もいいかもしれませんね。最近の行政書士さんの中には離婚分野を専門にされて活躍されている方も少なくないようで、ホームページもよく見かけます。
転んでもただでは起きない覚悟で、「離婚 行政書士」「離婚 弁護士」で検索して出てくるホームページの出来の良さそうなのを隅から隅まで読んでみたらどうかな。将来離婚事件を扱うのに役立つし、行政書士の仕事のイメージもつかめるのではないかな。
○婚姻費用はしっかり払わせましょう。でないと、離婚しないことのコストが極端に安くなるため、夫はますます離婚に応じなくなりますよ。
○夫に接近すると過呼吸ですか。それでは同居は無理ですね。私の昔の依頼者にも何人もそういう方がいらっしゃいました。中には、本当に皮膚がひどくただれてきてそれは苦しいという方もいらっしゃいました。
早く別れたければ離婚訴訟しかないですよ。性格の不一致と愛情の喪失(過呼吸になるほどだと有望。診断書がとれるとよい。)だけでもいけるかもしれませんよ。その場合は、地元の弁護士への依頼をお勧めします。法テラスの利用を研究しましょう。
■このQ&Aは、的場が、「bengofuji」のペンネームで「@nifty教えて広場」に回答した記事を、個人的にコレクションしているものです。また、質問部分については、長いすぎるものや質問者を特定する手がかりになりそうな記載は適宜短縮等しております。
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