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2012年5月 6日 (日)

傷害の慰謝料について

■質問

私が以前デリバリーヘルスに勤務していた時に、ホテルでお客様に携帯で盗撮されました。私は盗撮に気づき携帯を取り上げると、お客様は逆上し、私を壁に叩き付け、手首をねじり、無理やり携帯をとりあげ、盗撮した動画のデータを消しました。その間、私はお店に助けを求め電話しました。お客様は怖くなったのか逃走を測ろうとしたので、私は入口に立ちはだかりましたが、強く床に引っ張り倒され、逃走されました。その後すぐ警察を呼び被害届を提出しました。あれから1年半経った昨日、警察から電話があり、犯人かもしれない人物を見つけたので写真を確認して欲しいとの事でした。今朝、警察が自宅に来られて10人の男性の写真を見せられました。私は今でもその男が夢に出てくるので、すぐに犯人がどの人か分かりました。事情を聞くと、まだ捕まえておらず、これから逮捕に乗り出すとの事でした。私は床に叩き付けられた時、全身を強く打っており、今でも整体に通っています。それより精神的ダメージははるかに大きいです。 仕事が仕事なので、皆様には理解して頂けないかも知れませんが、当時は複雑な家庭の事情があり仕方なく働いておりました。その後、私は男性が怖くなり、仕事に行けない日々が続きました。今は女性だけの職場に勤め社会復帰しましたが、その犯人の事が許せません。私は慰謝料など請求する事が出来るのでしょうか?教えて頂けると光栄です。よろしくお願いします。

■回答

とても怖くつらい経験をされましたね。
相手の男に慰謝料の請求をすることは当然できます。
デリヘル嬢としての接客中のあなたの姿態を盗撮することはあなたのプライバシーに対する侵害行為ですから、あなたが相手の携帯電話を奪おうとしたことは正当防衛行為だと思います。
したがって、これに対して携帯を取り戻そうとしてあなたを壁に叩きつけたり、腕をねじったりする相手方の暴行は正当防衛にはなりませんから違法行為という評価を受けます。したがって、損害賠償ができるし、暴行または傷害罪などとして相手方が刑事処罰をうけることにもなるわけです。
そこで、損害賠償額の算定ですが、慰謝料以外にも、治療費、休業損害(逸失利益)を請求することも可能なのですが、逸失利益の証明には困難があるかもしれません。
ソープランド嬢が交通事故に遭った場合の判例が参考になります。
まず、ソープランド嬢の場合、得た所得について適正な税務申告をしていない場合が多いのです。しかし、申告していない所得も所得自体が違法に得られたものでない以上、公序良俗や信義則に反するものとしてその主張が許されないと解することは出来ず、実務上は、申告外所得の主張自体も許されています。勤務している店から休業損害の証明をしてもらうことも困難な場合が多いと思います。預金通帳などから証明することを考えることになります。ただその場合でも、売春により極めて高額な収入を得ていたとしても、違法な収入部分は損害として認められないのが原則です。現実的には、賃金センサス(賃金統計のこと)の女性労働者の平均賃金の範囲くらいでしか損害とは認められない場合が多いと思います。その範囲でなら休業損害の請求も可能です。
事件が事件だけに被害弁償の交渉は自分でしないほうがいい場合もあるかも知れませんね。その場合には弁護士に交渉窓口になってもらうことも検討しましょうね。
要らないことですが、ご質問を読ませていただいて、デリヘル嬢って仕事、怖い事件に巻き込まれる危険と背中合わせの厳しい仕事なんだなあ、「複雑な家庭の事情で仕方なく・・・」とさらっと書かれているけれど重たいものを背負っておられたんだろうなと、変なところで考え込みました。
では、お大事に。

■このQ&Aは、的場が、「bengofuji」のペンネームで「@nifty教えて広場」に回答した記事を、個人的にコレクションしているものです。また、質問部分については、長いすぎるものや質問者を特定する手がかりになりそうな記載は適宜短縮等しております。

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