フィリピン人母が日本人父に対して強制認知
■質問
フィリピンに住む友人からの相談で、裁判所に聞いても分からないとの事だったので、どなたかご存知の方がいらっしゃれば教えてください。
現在フィリピンに住む女性が、日本に住む男性に対して強制認知をさせるにはどうしたら良いでしょうか?
彼女は十代の頃に日本へダンサービザで滞在していて、その時にできた子供の認知をしてもらいたいようです。(よくある話ですよね。。。。)
今子供の年齢は11歳で、できれば養育費も貰えればとは思ってるようなのですが、一番の目的は子供をフィリピンの中学校に通わせるのに、戸籍が必要との事なのです。
彼女は間違いなく相手の子供だと言ってますので、DNA鑑定をしたら100%勝てると思うのですが、なにぶんフィリピンに住んでいるので、日本人同士のようにはいかないと思います。
父親の住所・氏名・電話番号は調べがついていますが、弁護士に依頼しないと強制認知をさせられないでしょうか?
何かご存知のかたがいらっしゃいましたら宜しくお願いいたします。
■回答
○DNA鑑定によって父親であることが科学的に確認できるかどうかが一番のポイントです。男性がDNA鑑定に協力してくれないとうまくいかないかも知れません。日本で認知調停を起こすメリットは裁判所からDNA鑑定に協力するよう男性を説得してもらえる可能性があるということです。
まずは、男性に連絡をとって、協力を依頼してみるところから始めることになりますかね。
DNA鑑定さえ得られるならば、あとは日本にわざわざ来なくてもフィリピンの裁判所などで父子関係を確認してもらえるでしょう。(フィリピンでは認知という方法は採用されていないようですが、そう難しく考えなくてもいいでしょう。)
○フィリピンはカソリックの影響が強いため離婚を認めないなど日本の家族法との違いがとても大きいので注意を要します。
フィリピンは現在は認知主義をとっておらず、事実主義の国なのです。フィリピンの裁判所などで父子関係を確認できれば男性との非嫡出親子関係が発生します。
○強制認知の裁判管轄は、日本(認知をする者の住所地)とフィリピン(子の常居所地)にあります。
法の適用に関する通則法の第29条がこれを規定しております。認知を受けることが子の福祉に適うという考え方から、認知ができやすい法を選んで認知 を進めることができるようになっていますから日本法でで考えていっても不都合はなさそうです。フィリピン法でもかまいませんが、フィリピン法は認知主義はとっていませんので、日本の裁判所で手続をするならば、日本法を準拠法とした方が簡明でしょう。
○フィリピン女性と日本男性との間では起こりがちな問題なので、フィリピンの渉外弁護士ならば必要な知見をお持ちだろうと思います。フィリピンの渉外弁護士と日本の弁護士が共同作業できるといいのだけれど無茶苦茶費用がかかりそう。
○「一番の目的は 子供をフィリピンの中学校に通わせるのに、戸籍が必要との事」と書かれている点は、そもそも戸籍制度がない国でそんなことがあるのかとちょっと疑問に思っています。彼女が何か勘違いをされている可能性があります。フィリピン国籍を有する母親から生まれた子はフィリピン国籍を取得されていますから、フィリピン国内で生活するには不都合はないと思うのですが。単に、入学の手続書類に「父不詳」では体裁が悪いというレベルの問題かもしれません。
○次の資料の193ページ以下に詳しい説明があります。特に204ページが同じような場面の解説になります。専門的で難しい記述だけれど手がかりになるでしょう。もし日本の弁護士の相談にいかれるときは、この資料を持っていかれて読んでもらった上で具体的な進め方を相談するといいと思います。
○うまくいくことをお祈りしています。
参考資料:
http://books.google.co.jp/books?id=a5rw9v0Xj7wC&pg=PA204&lpg=PA203&ots=xLltO2fFIH&dq=%E6%B8%89%E5%A4%96%E8%AA%8D%E7%9F%A5+%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%94%E3%83%B3&hl=ja&output=html_text
■このQ&Aは、的場が、「bengofuji」のペンネームで「@nifty教えて広場」に回答した記事を、個人的にコレクションしているものです。また、質問部分については、長いすぎるものや質問者を特定する手がかりになりそうな記載は適宜短縮等しております。
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