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2012年3月26日 (月)

山陽新聞「山陽新聞を読んで」【支持できる死刑回避方針】

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支持できる死刑回避方針
岡山弁護士会 会長 的場真介

光市母子殺人事件で元少年に対する死刑判決が確定しました。(2.21山陽新聞朝刊社説)ドラえもん発言など被告人の不条理な犯行動機を主張した弁護人が,
世間から袋叩きにあった事件でした。
地裁と差戻前の高裁は,無期懲役でしたが,最高裁が「刑の量定が甚だしく不当である」として高裁判決を破棄し,「死刑の選択を回避するに足りる特に酌量すべき事情の有無について更に慎重な審理を尽くさせる」として高裁に差し戻しました。そして,高裁は「死刑の選択を回避するに足りる特に酌量すべき事情は認められない」として,死刑を宣告したのでした。
誤判冤罪を防止するために,刑事訴訟では,検察官とプロの刑事弁護人とを,「疑わしきは被告人に有利に」等という検察官に不利なルールで法廷で対決させ,それでも検察官が有罪判決を得たならばその刑罰権発動は正しいとされてよいと考えるのです。刑事弁護人は国家が予め用意した妨害者であり,弁護人の任務はあらゆる知恵を振り絞って無罪またはできるだけ軽い刑を求め,国家刑罰権の発
動に抵抗し妨害することです。多くの場合は,弁護人の懸命な抵抗は検察側の激しい攻撃によって乗り越えられていきます。弁護人の頑強な抵抗・妨害を乗り越えることで,国家刑罰権の正当性が試されるのです。
おそらくこの事件では,犯行時には少年であり被害者2名ですから最高裁の永山基準によれば死刑は回避されると考えて,被告人が実際に言っていることを脇に置いてマイルドな弁護方針を組み立てたのだろうと思います。そして,無期懲役の地裁高裁の判決を勝ち取りました。
しかし,最高裁の破棄判決の示した枠組みから,従来の弁護方針ではもはや死刑判決を阻止できないと判断してこれを捨て,被告人の荒唐無稽な話を公表し,被告人の精神の奥底に広がる闇の深さを生々しく描くことで,「被告人の精神発達の未熟さ」を明らかにしようとしたものと,私は見ています。
死刑判決になってしまったわけですが,今回の最高裁判決の中で少数意見は「年齢に比べ精神的成熟度が低く幼い状態だったとうかがわれ,死刑回避の事情に該当し得る」と言っています。この少数意見のような見解を引き出すことで被告人に活路を開こうとしたのでしょう。
被告人に活路が開かれるならば、われわれ弁護士はあらゆる犠牲を払ってでも、考えられる限りの法的手段を試すよう普段から教育、訓練されており、私は母子殺害事件弁護団の弁護方針を理解し支持したいと思う

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