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2012年3月 3日 (土)

借用書の名前が偽名かもしれない

■質問

借用書の名前が偽名かもしれないのですが。。

(長文になります。すみません!)
3か月ほどお付き合いしていた彼にお金を貸してほしいと言われ、最初10万円貸したのですが
その後、また貸してほしいと言われたので、30万貸しました。

貸したときは彼の事を信用していたし大好きだったので、借用書などは書いてもらいませんでしたが、お金を貸したあとからあまり連絡が取れなくなってきて、彼への不信感から後日借用書を書いてもらう事にしました。
借用書を書いてもらう時も、嘘をついて何とか呼び出して来てもらった状態で、会っても会話はほとんどなく、借用書を書いてほしいと言ったらとても不機嫌になり気まずくなってしまったので、「後に貸した30万円の分だけでもいいから借用書を書いて!」とお願いして、渋々書いてもらいました。
その後、彼から15万円返済がありましたが、それから、彼と連絡が取れなくなってしまいました。

そこで仕方なく借用書に書いてある住所に行ったのですが、表札に知らない名字が書いてありました。
実は一度も彼の家に行ったことがなかったんです。
所在を確認しようとしたのですが、その日は不在で彼に合う事ができませんでした。
ですがベランダに見覚えのあるジャケットが干してあったので、彼はそこに住んでいるのだと思います。

それでやっと目が覚めたのですが、彼の名前は偽名でお金が目的だったのかなと思いました。
彼が困っているからお金を貸したのに、騙されてたのかと思ったら彼への思いが吹っ切れて、何とか全額返してもらいたいと思いなおしました。

色々調べたところ、借用書があれば、内容証明を送って、それでも返済がなければ少額訴訟か支払督促をするのが有効だと分かったのでまずは内容証明を送ろうと思うのですが
そこで分からないことがあり質問させていただきました。

まず、内容証明を送るときのあて名は借用書の名前が良いでしょうか?それとも表札にある名前が良いでしょうか?
次に、返済金額は、借用書に書いてある30万円から返済された15万円を引いた額でないとだめでしょうか? 最初に貸した10万円を上乗せして書いてもよいのでしょうか?

ちなみにお金のやり取りはすべて手渡しです。(貸す時も返してもらう時も)
また借用書を書いてもらう時に印鑑を持ってなかったので拇印を押してもらいました。

借用書が偽名であれば、その時点で詐欺罪が成立するというような記事も目にしましたが
正直、彼の事は好きだったのでそこまで憎むことはできないので、お金が戻って来てさえすればよいと思っています。

どうするのが一番よいでしょうか?法律に詳しい方、是非教えてください。
宜しくお願いします。


■回答

私(弁護士)があなたから貸金回収を相談された場合どうするかということを説明しますね。

まずは、借用書の住所氏名に宛てて内容証明郵便で催告書を送付します。最初の10万円も加えて請求したらいいです。この催告書が届かずに戻ってくるのは覚悟の上です。返戻郵便物には「あて所に尋ねあたりません」と書かれているのが普通ですが、「不在」などと書かれていた場合は郵便局の台帳にそういう人物があるわけですからその後の対処の仕方が変わってきます。

次に、誰に対して裁判上請求するか(裁判所に出す訴状に誰の住所氏名を書くか)を慎重に検討します。借用書の氏名住所を書いても訴訟は進みますし、訴状が被告の住所に送達されなくとも「公示送達」という方法を使えば判決まで持っていくことはできるでしょう。しかし、どこの誰ともわからない人に対する判決をもらっても強制執行で苦労するだけかもしれません。ここの調査の手抜きは禁物です。

そのために、まずあなたに借主について知っている情報をすべて箇条書きにしてもらいます。
(1)借用書に記載された住所・氏名
(2)連絡先として教えられた携帯番号、固定電話番号、メールアドレス
(3)勤務先、学校
(4)誕生日、生まれた年の干支
(5)出生地、出た学校
(6)車に乗っていたか。その車種、登録番号
(7)家族構成、例えば「何人兄弟」とかでもよい。
(8)他方で、あなたが確かめた表札の名前(名字だけだったか、フルネームだったか、同居人が記載されていなかったか。)、住宅の種類(一戸建か集合住宅か、ファミリータイプか単身者用かなど、管理会社の看板がでていなかったか。

そうして、これらの情報をもとに、借用書の住所氏名や表札から氏名などで住民票の調査を試みるでしょう。携帯電話やプロバイダー契約等の契約者情報の調査、ライフライン(電気水道などの契約者情報の調査)、警察、大家さんなどへの聞き合わせなども試みるかもしれません。

それと並行して、郵便を使ったテストを行います。借用書の住所氏名な宛てて、表札に書かれていた住所氏名あてに、「こういう名前の人から頼まれてお金を貸したのですが、連絡がとれなくなってしまいました。困り果てて、借用書に書かれた住所を訪ねたのですがその住所にはあなた様の表札が出ていました。不躾ですが、そういう人をご存じでしょうか。ご一報いただけませんでしょうか。」といった葉書でも出してみるでしょう。偽名を使った本人が見ても、その同居人が見ても、表札の他人が見ても、それなりに何らかの動きが出て情報がわかることが期待できます。

できたら地元の弁護士と相談だけでもしながら進めるのがいいと思います。うまく行くことをお祈りしています。

■このQ&Aは、的場が、「bengofuji」のペンネームで「@nifty教えて広場」に回答した記事を、個人的にコレクションしているものです。また、質問部分については、長いすぎるものや質問者を特定する手がかりになりそうな記載は適宜短縮等しております。

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