自殺したいとこの代わりに慰謝料請求出来る?
■質問
私のいとこが夫の不倫が原因でうつ状態になり、自殺しました。
身内で相談した結果、その夫と不倫相手の女性に対して訴訟を起こすという方向になったのですが、本人が亡くなってしまった状態で提訴する事は出来るのでしょうか?
すでに相手女性には慰謝料を請求し、来月から分割での支払いを受ける予定になっており、その件とは別にさらに慰謝料を請求したいと思っています。いとこの遺書にも、私の代わりにお願いしますと書いてあり遺志を無駄にはしたくないですし、このままでは悔しくてたまりません。
夫とはまだ離婚はしていませんが、今回の不倫が原因での別居状態で、離婚後に慰謝料請求をする予定でした。
■回答
この場合の慰謝料は、故人が夫と不倫相手に対して請求しようと思った時に発生したもので、これを相続により取得したか、債権譲渡(あるいは授与)により取得した人だけが請求できると思います。(勉強されている学生さんくらいにしか参考にならないかもしれませんが、私が参考にさせていただいた弁護士さんのブログ記事を一応付けておきます。)
相続人が取得したとすると、法定相続人が法定相続分について行使することになりますが、最も大きな部分を相続する夫が相続した部分は混同(債権者と債務者が一致することによる債権消滅)により消滅するのか。夫は不倫相手に決して請求しないはずですから、夫が相続する部分以外の部分を相続した子(子がいない時は直系尊族、子がいない時は直系尊族、子も直系尊族もいない時は兄弟姉妹)などが、それぞれ相続した部分について権利行使することになりそうです。いずれにしても、いとこには相続権はないはずなのでこの理屈では権利行使できません。しかし、あなたが、これらの法定相続人に「遺書」をお見せして相談されることで、法定相続人の積極行動を促すことはできるかもしれません。
次に、あなたは「遺書」なるものをお持ちということです。これをどのような意思表示と解釈できるのかが大問題です。「遺書」が直接あなたに慰謝料請求権を授与する有効な意思表示と見ることができれば、あなたは与えられた権利を行使できることになるのでしょう。これを自筆証書遺言と見るには、自筆証書遺言の有効要件(全文自筆、日付、自署、捺印)を満たしていることが必要でしょう。あるいは、遺言でなくで別の法的構成を考えるのかもしれません。遺書の文面次第では何か理屈が立つかもしれません。具体的な文面や日付、自署、捺印の状態を拝見しないとなんとも言えない状態です。
裁判で勝訴判決が得られれば、相手の財産・収入に対して強制執行が可能なことは一般の損害賠償債権の場合と全く同じです。
遺書を地元の弁護士に見ていただいて検討してもらってください。
なかなか難しいものがありそうですが、故人のお気持ちを尊重されたいあなたのお気持ちには共感できます。あなたの気持ちが通して、道が開けることをお祈りします。
参考URL:http://s.ameblo.jp/mc-pr0/entry-10905721653.html
■このQ&Aは、的場が、「bengofuji」のペンネームで「@nifty教えて広場」に回答した記事を、個人的にコレクションしているものです。また、質問部分については、長いすぎるものや質問者を特定する手がかりになりそうな記載は適宜短縮等しております。
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