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2012年3月27日 (火)

裁判員制度について

■質問

素朴な疑問なのですが
通常裁判員裁判となりえないような案件について、「弁護側が」裁判員裁判を請求することは
できますか?
例えば「一般人に対して」論理的な説明を行えば無罪ではないかと感じさせられる可能性が
あるのに、法曹界の慣習のせいで有罪となる事件などです。
修正の薄い性的な「絵」に関する「わいせつ物頒布等の罪」などがそれに当たると考えています。
こういった案件に対して裁判員請求ができないなら、一体何のための裁判員制度なのかと思います。

■回答

私も同感です。
裁判員裁判の弁護をしますと、裁判官席の雛壇の隅から隅まで、裁判官3名と裁判員6名の9名(実際には予備の裁判員もさらに数名)が人の壁のように並び、その圧迫感は弁護人でさえ足がすくむようです。
重大事件であっても争いのない事件についてまで、このような重厚長大な手続をする必要があるのか、とても疑問に思っています。アメリカのように陪審による裁判はその経費や裁判員の負担の大きさや被告人の受ける圧迫感の大きさなどを考えますと、重大事件でも事実に争いのない事件は裁判官裁判でやればいいし、被告人に裁判員裁判の選択権を与えるのが現実的ではないかと思っています。
反面、人が死んでいる重大事件でなくても、正に市民のバランス感覚に頼りたい事件もあります。あなたの指摘されたわいせつ物の事件などもそうだと思います。否認事件については被告人・弁護人が特に希望すれば裁判員裁判にしてもいいのではないかと思います。
折しも、今裁判員裁判の3年目の見直しが行われております。
日本弁護士連合会も、「裁判員法施行3年後の検証を踏まえた裁判員裁判に関する改革提案について」という一連の意見書を発表し、その中で「法定刑を基準として定められる現在の裁判員裁判対象事件の外にも, 例えば犯人性が争われるいわゆる痴漢事件や,過失の有無が争われる交通事犯等, 公訴事実及び犯罪の成立を妨げる理由又は刑の加重減免の理由となる事実に争いのある事件における有罪・無罪等の判断は,国民 の関心が高く,かつ社会的に影響が大きいし,被告人が起訴状に書かれている罪 を犯したことは間違いないと考えられるかを市民の常識に従って判断する意義が大きいといえる。」と述べてます。

参考URL:http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2012/120315_5.html


■補足

回答ありがとうございます。
確かにそうですね。「一般人から考えて無罪」というより、もっと具体的に、
「有罪性が疑われる事件」については、被告人が望むのであれば裁判員裁判を
考慮するべきなのかもしれないと思います。痴漢なども該当すると思います。
今の時代、医者のような専門職ですら「一般人への説明義務がある」と言われているのに、
法曹にはその法解釈を一般人に納得のいくように説明する義務がありません。
「死刑、無期懲役か否か」という判断と同様に、「そもそも本当に有罪なのか」という
判断もまた重大であるはずです。にもかかわらず無期懲役関連の案件にしか適用されない
裁判員制度にやはり意味はないと感じます。
そのような重大判決に関して、法曹が一般人に納得のいく説明すらできないなら、
そのことを反省すべきです。
日弁連がそのような主張をすでに書いていたと思いませんでした。ありがとうござい
ました。


■このQ&Aは、的場が、「bengofuji」のペンネームで「@nifty教えて広場」に回答した記事を、個人的にコレクションしているものです。また、質問部分については、長いすぎるものや質問者を特定する手がかりになりそうな記載は適宜短縮等しております。

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