証拠採りとしての会話録音について
■質問
自宅に於いて、
1、後日証拠として残したい為に相手との会話を相手に断りもなしに録音する事は問題ないのでしょうか?
2、逆に相手も録音していたらどうなんでしょう。相手には問題ないのでしょうか?
■回答
あなたのご質問に対する回答としては、1、2共に法律的には問題ないということになります。
判例は、無断で一方的に録音された録音体についても証拠とすることを認めています。刑事訴訟の場合の証拠に関しては「違法収集証拠排除」という法理が働きますが、民事に関してはそのような制限はありません。
他の回答者がご指摘されている通り、相手方から「隠し録りなんかしやがって」という反発を受けることもありますし、何より「隠し録り」に卑怯な行為という印象を持って尻込みされる方も数多くいらっしゃいます。そのような細やかな感性の持ち主、私は好きです。
私も「隠し録り」にはいくらか卑怯な印象を感じないではありません。しかし、「隠し録り」を嫌って、訴訟に負けてしまっても誰もほめてはくれません。
私は、依頼者に次のようにお話して「隠し録り」をしてもらうことにしています。
「確かにあなたの言われるように『隠し録りテープ』って少し汚れた証拠なんだよね。だから、私は『隠し録りテープ』なんか持ち込まれても証拠には原則として使わんですよ。唯一の例外は、その会話に含まれる内容について、相手方が大嘘をついてあなたの正当な権利を不当に侵害しょうとした場合に、あなたの正当な権利を守るために使う。その場合だけよ。この場合は、正当防衛だからね。少し汚れた証拠であってもかまわんでしょう。」と。
ご理解いただけますね。
余談ですが、他人の家に盗聴器を仕掛けるようなことは絶対にいかんですよ。
自宅の中でも、離婚紛争などで盗聴器を仕掛けるようなことはハイリスクです。相手の浮気などを確かめようとして、ついついやってしまう方がいらっしゃいますが、これがバレますと、反省しても謝っても、夫婦関係は完全に壊れてしまいます。盗聴器で監視されているということは、安息の場所であるべき自宅が牢獄になるということを意味するからです。
「隠し録り」は絶対にばれないようにすべきです。また、録音対象は自分と相手方の会話に限定したほうがよいと思います。自分が何を言ったか聞いたかをメモする意味合いだったと弁解できるでしょ。盗聴となると話はまた別ですよ。
■このQ&Aは、的場が、「bengofuji」のペンネームで「@nifty教えて広場」に回答した記事を、個人的にコレクションしているものです。また、質問部分については、長いすぎるものや質問者を特定する手がかりになりそうな記載は適宜短縮等しております。
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