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2012年2月29日 (水)

遺産共有と管理行為、処分行為

■質問

可能なことなのでしょうか?

昨年父が亡くなり、実家の土地建物は、名義変更しないまま、私の実姉夫婦が維持管理してきました。今日突然連絡あり、名義変更しないまま、売却か無償で他人に貸すかのどちらかの方法を考えているとのこと。実姉いわく「父が亡くなっているので、自分が代理人になって」と言ってましたが、はたして名義変更しないまま実際にそんなことが(売却か賃貸)できるのですか?
いわゆる法定相続人は姉と私の二人だけです。別に財産云々でなく、一方的な言い方が腹立たしいのです。回答よろしくお願いいたします


■回答

可能ですか?と言われると、「よろしくないことだけど、貸すくらいのことは、やる人はいくらでもいるでしょうな」ということになります。少し理屈を説明しますね。
まず、ご実家の土地建物は「あなたと姉上の遺産共有状態であり、共有持分はそれぞれ2分の1」ということになります。
ご実家の土地建物を第三者に売ることは「処分行為」ですから共有者の全員一致が必要です。第三者に無償で貸すこと(使用貸借といいます)や家賃をとって貸すこと(賃貸借といいます)は管理行為になりますから、持分の多数決で決めることになります。あなたと姉上はいずれも過半数の持分はお持ちでないので、単独では人に貸すことも決められないことになります。
売るという場合には、所有権移転登記も必要でしょうから、姉上が勝手にするということは事実上もできないと思います。
これに対して、人に貸すという行為は、姉上単独で事実上やられてしまう可能性があります。借家をする人が一々不動産登記を調べて本物の大家かどうかを確認するなんてしないですからね。
そこで貸す行為に対する対抗策ですが、
(1)まずは共有状態を解消してもらうことが大切です。遺産分割調停を起こすことが早道でしょう。
(2)姉上は「無償」で貸すと説明されており、そのとおりであれば使用貸借であって姉上にも利得はないのですが、賃貸であれば、姉上の受け取った家賃の一部を不当利得として返還を求めることが可能になってきます。もっとも、管理費用(固定資産税や修繕費)の分担は求められるでしょう。
(3)あなたが姉上の入れた借家人に「俺に明け渡せ」と要求することはできないと思います。あなたも過半数を持っていないからです。
しかし、姉上が無償で貸すということも口にされているところを見ると、空き家にして家が痛むのを防ぐ意味もあって姉上はそのように提案されているだけなのかもしれませんよ。そうならば、あまり腹を立てずに、これから姉上と空き家になってしまった実家の管理方法をどうするかについて冷静に話し合っていかれたらよいのではありませんか。
円満な解決ができることをお祈りしています。

■このQ&Aは、的場が、「bengofuji」のペンネームで「@nifty教えて広場」に回答した記事を、個人的にコレクションしているものです。また、質問部分については、長いすぎるものや質問者を特定する手がかりになりそうな記載は適宜短縮等しております。

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