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2012年2月28日 (火)

競業避止義務違反

■質問

弁護士費用がなくなったら

私の知っているある会社が、元社員に対して訴訟を起こしました。元社員は在職していたその会社で仕事のスキルとノウハウを蓄積し、独立してまったく同じサービスを提供する会社を作ったのです。

元社員はおそらく在職中に独立の準備を進めていたでしょうし、顧客名簿をコピーして持ち出した可能性もあります。しかし、独立の事実が発覚したのは元社員の退職後2ヶ月してからのことだったので、確たる証拠は何もないというのが現実です。

会社のほうは「競業禁止」の契約違反で損害賠償を求めていますが、おそらく認められないであろうとある程度は覚悟しています。ではなぜ訴えるのかと言うと、元社員は実質一人で会社を運営しており、貯金もないことが分かっています。裁判を起こすことで金銭的に疲弊させるためです。

とりあえず元社員は弁護士を立てたようですが、弁護士って一回出廷するのでも十万円くらい報酬が発生しますよね?会社は裁判を長引かせることで元社員を締め上げようと考えているようですが、もし元社員が弁護士費用を工面できなくなった場合、その裁判はどうなる可能性があるのでしょうか?

■回答

事件の筋は、会社に厳しいものがあります。競業を禁止する就業規則等があって
も、判例には個人の職業選択の自由の保護を優先する傾向がはっきり見られるのです。
元会社員側の視点で説明すると
この種の事件を本人訴訟でやることは極めて困難です。造詣の深い弁護士を依頼することが望まれます。したがって、弁護士費用も馬鹿にならないでしょう。
しかし、弁護士費用をリーズナブルにあげる方法はあります。弁護士に率直にお願いして長期分割にしてもらうとか、顧問弁護士をお願いすることと抱き合わせで相談してみるのがいいと思います。経験ある弁護士なら、元会社員側が有利なことを見抜いて、力を貸してくれるかもしれません。
出廷1回についていくらという決め方はあまりしないですね。もちろんそういう決め方をしたらいかんというわけではないのですが。
他方、会社側の視点に立っても、商圏を守るためには勝ち負け予測を度外視してもやっておく価値がある訴訟のように見えます。特に仮処分で牽制することには意味があるでしょう。

■このQ&Aは、的場が、「bengofuji」のペンネームで「@nifty教えて広場」に回答した記事を、個人的にコレクションしているものです。また、質問部分については、長いすぎるものや質問者を特定する手がかりになりそうな記載は適宜短縮等しております。

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